鷹山水図屏風 雪村周継筆

鷹山水図屏風 雪村周継筆https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/k/knockeye/20240204/20240204083726_original.jpg うさぎが隠れてる。と言われて、気がついてみるとドキドキする。こういう遊び心、というか、あざとさというか。 私は雪村の呂洞賓…

関孫六 東京国立博物館所蔵

東京国立博物館に中尊寺金色堂と本阿弥光悦の展覧会を観にいった。 企画展は撮影できないので常設展からいくつか。 「関孫六」と知られる関兼元の室町時代の刀。豊臣秀吉のものと言われているそうです。波紋が特徴的に見えます。www.youtube.com 伊藤若冲の…

大統領選が始まったので戦争が止められないかも

ウクライナとロシアの戦争が膠着しているうちにハマスとイスラエルの殺し合いが始まり、皮肉なことに、それが何となくアラブ社会とロシアを接近させてゆく空気を醸し出した。ロシアは何となく孤立を逃れたように感じているだろう。 ロシアとイランはもともと…

『哀れなるものたち』ネタバレ

「クリトリス」がフェミニズムの用語であることをたぶん日本人はなかなか理解しにくい。映画がクリトリスについて語っている場合、フェミニズムについて語っていると考えてよい(『あなたを抱きしめる日まで』のジュディ・デンチでも)。 クリトリスの切除は…

『ヤジと民主主義 劇場拡大版』

マスメディアを信用しなくなってしまっているので、たまにこういうのにぶつかると愕然とする。 今、素人がスマホで動画を撮れるって時代になってホントによかったと思う。文字メディアで聞いただけなら到底信じられなかった。 選挙演説に来てる、その候補者…

『レザボア・ドッグス』

『レザボア・ドッグス』を映画館で観た。当時、画期的でセンセーショナルだったのがよく分かる。 去年、『クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男』を観たが、タランティーノの撮影現場は実に楽しそうだった。 シーンを撮り直す際に 「OK、だけども…

『サン・セバスチャンへようこそ』

『レイニー・デイ・イン・ニューヨーク』がクランクアップしたのは2017年だった。日本では2020年に公開されたが、本国アメリカではいまだに公開されていない。 それは、ローナン・ファローの言いがかり、それも、#metooに絡めた言いがかりだったので、さもウ…

『ゴーストワールド』

1月17日も、うっかり忘れて通りすぎることもあったくらいだが、今年はやはり意識した。 しかし、私だけでなく、あれが100年に一度のまがごとなんだろうと、良くも悪くもそう思ったはずだった。 少なくともあれから、こんなに長く、断続的に大災害に悩まされ…

キース・ヘリング展

キース・ヘリング キース・ヘリングに比べれば、バンクシーなんて何なの?。 色々目を瞑ったとしても絵が下手すぎるだろ?。顔出さねえしよ。 キース・ヘリングに比べれば、バスキアですら見劣りするでしょ。 森アーツセンターギャラリーでキース・ヘリング…

『エマニエル夫人 4K レストア版』

レディズムvs.フェミニズムって考え方もあると思う。フェミニズムの対義語がマッチョイズムだとしたらダンディズムに対立する概念としてレディズムはある。フェミニズムは、つまり、マッチョイズムなのである。 おそらくリベラリズムが力を失っていく同じ道…

令和ロマンはM-1を変えたか

川瀬名人が言うには令和ロマンだけがお客さん向けの漫才をしていた。これは当たり前みたいだけど、でも、M-1のお客さんが見にきてるのはそもそもM-1であって、漫才を見ているのは審査員であるはずだった。 よく言われるように初期の頃のM-1はもっとピリピリ…

ウディ・アレンと松本人志

一時期は毎年映画を撮っていたウディ・アレンがもう映画を撮っていないのは、元・息子が、「あいつが俺の妹をジャニー喜多川した」と声高なキャンペーンを張ったからだ。 この元・息子ってのがその辺のやつではなく、けっこう成功したジャーナリストになって…

マリー・ローランサン展

マリー・ローランサンって根拠なくレズビアンだと信じてきたけどバイセクシャルなんだね。 それはこういう 《女優たち》よりもこういうエッチング ジャック・ド・ラクルテル者、マリー・ローランサン挿絵 『スペイン便り」の方に如実に感じる。女を見る目が…

中村芳中、酒井抱一、円山応挙

福田美術館の他の絵もついでなので。 中村芳中《花鳥人物扇面貼交屏風》https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/k/knockeye/20240104/20240104190349_original.jpg 中村芳中は、酒井抱一より早く、尾形光琳の絵を江戸に紹介したと記憶している。 絵…

『枯れ葉』

今年の映画初めは、アキ・カウリスマキの『枯れ葉』。ですけど、満席でびっくり。 これ が、 こう ですから。 引退を撤回して5年ぶりにとった映画は、ケレン味のないまっすぐなラブストーリーで、トルストイが老年に書いた『復活』のみずみずしさを思い出さ…

バービー・フェミニズムとは

「バービー・フェミニズム」という言葉を考えてみた。当然ながらそんな言葉はない。 「バービー・フェミニズム」で検索すると、去年最大のヒット映画だった『バービー』について、フェミニズム映画だだの、アンチ・フェミニズム映画だだの、ポスト・フェミニ…

「ゼロからわかる江戸絵画」から龍の絵

福田美術館のメインの展覧会の方。 私は長沢芦雪が好きなので、見たことがない長沢芦雪がいっぱい見られて嬉しかった。 長沢芦雪《大黒天図》https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/k/knockeye/20240103/20240103035546_original.jpg 線の天才、長…

福田美術館で品川亮

福田美術館は、嵐山の渡月橋の前にあり、お正月も2日から訪ねることができる。で、このところのお正月は何となく訪問が習慣になってる。 しかも、関東では滅多に出会わないコレクションを観ることができる。応挙、蘆雪、若冲、蕭白など。 でも、その前に、ま…

松本人志の性加害について

松本人志の性加害って言うから、何事かと思ったけど、具体的には、数人の男女でホテルのスイートルームでわーきゃーしてる中で、松本人志が裸になって(女性の方は着衣のままみたい)キスしたんだそうだ。 それで、「俺の子供を産んでくれ」とか言って迫られ…

『リアリティ』ねたばれ

わたしはドキュメンタリーが好きなのでこういう映画は大好き。何とFBIの尋問を録音したテープをそのまま映像に再現している。したがって82分と尺もタイト。 FBIの尋問テープを音声として流しながら口パクで演技すれば、第一稿は出来上がるだろうって感じ。冒…

『ほかげ』

不思議なんだけど塚本晋也監督の新作『ほかげ』は、山﨑貴監督の『ゴジラ-0.1』とは共鳴しあっている。いくつかのシーンは同じ場所かと見まがうばかり。 趣里さんの寝ている焼け残った居酒屋の周囲、ほんの半径2、3mしか写してないけど、それでもう町全体の…

『きっと、それは愛じゃない』 Xmas〜大晦日の間にちょうどいい映画 ネタバレ含む

クリスマスから大晦日までのこの時期って特別な呼称はないけど、なんとなく他の時期とは違う独特な雰囲気がありますよね。『きっと、それは愛じゃない』は、この時期にちょうどいい感じです。 クリスマスのほっかほかデートムービーではなく、お正月の大衆娯…

『PERFECT DAYS』

ヴィム・ヴェンダースの日本好きというか、小津安二郎に対する敬愛は、『東京画』などで知っているけれども、『東京画』は『東京画』と言いつつ、記憶に残っているのは笠智衆との対話って感じで、エッセイ漫画ならぬエッセイ映画って感じ。ヴィム・ヴェンダ…

『蟻の王』ネタバレ

食傷気味というよりもう完全に飽き飽きしているLGBT映画なので、珍しくイタリア映画で、ブライバンティ事件という実話を描いているってことでなければ観にいかなかった。それに「蟻の王」ってタイトルが当然ながら『蝿の王』を思い出させてちょっと魅力的だ…

『正欲』『市子』『隣人X -疑惑の彼女-』まとめてネタバレ

この3作品を並べて評するに意味があるかどうかようわからん。 でもまあ、立て続けに観ちゃったから、何となく共鳴する。3作品とも孤独な女性のストーリーとして観ちゃった。だから、『隣人X -疑惑の彼女-』も、上野樹里が演じる柏木良子の物語として観ちゃ…

『ぼくは君たちを憎まないことにした』

最近観た映画で泣けるって意味ではこの映画が一番だろう。 ただ、残念ながら他に言うことがない。 ある日街を歩いている主人公に女の子が近づいてきて 「代弁してくれてありがとう」という。 フランスが、あのテロの直後、イスラモフォビアからなる憎しみの…

夢枕獏さんのゴジラ

ああ、昨日書こうと思ったのに忘れてた。 夢枕獏さんが江戸時代に現れるゴジラを書いていた。 つうのは、現代を舞台にしたら、火器が先鋭すぎて、ゴジラを倒せない理由にリアリティがなさすぎる。ので、江戸湾から上陸したゴジラと平賀源内が対決する。 次回…

『ゴジラ-1.0』ネタバレ

封切からほとんど一ヶ月たって今更『ゴジラ -1.0』を観た。 近年、映画の公開数が多すぎる。で、観たいと思っている映画を見逃す。先月はひと月で12本観てる。平均して1週間に3本観ている。それに加えて、Netflixで『ザ・キラー』と『ミュンヘン』を観たのだ…

『花腐し』

『花腐し』は、松浦寿輝の芥川賞受賞作の映画化でもあるけれど、と言いつつやはり、荒井晴彦のシナリオという惹きが強いか。 というのは、『赫い髪の女』は、中上健次の短編が原作なんだけど、原作とはほぼ違うものだった記憶。 モチーフもピンク映画の終末…

『熊は、いない』『君は行く先を知らない』

イランには優れた映画監督が多い。その中で、ジャファール・パナヒ監督は、特殊というか不思議というか、イランの外から見ると謎な状態に置かれてきた。2010年に「イラン国家の安全を脅かした罪(?)」を犯したってことで、20年間の映画制作・出国・あらゆ…