「ルルドの泉で」

knockeye2012-04-14

 映画「ルルドの泉で」をジャック&ベティで。ジャック&ベティは、見たかったのに見逃しちゃった映画を拾ってくれることが多い。
 ↓このインタビューがとても面白い。アニメ「アルプスの少女ハイジ」がモチーフにあったとは。でも、なるほどだわ。
 私もあのエンディングがすごくすき。‘あ、この映画ここで終わる’と思った瞬間エンディングロールが流れ始めた。

 公式サイトには
「実は、この映画を撮っている時、私は自分が日本人であるような視点でいようと心がけていました。」
という監督の言葉がある。
 すこしは営業トークであるにせよ、「日本人であるような視点」という距離感の表現にセンスの良さを感じる。神の視点では話がややこしいし、鳥の視点では、何を言っていることにもならないし。
 上のインタビュー記事に、次回作について語っている。19世紀初頭にガンの妻とピストル自殺した劇作家の話なのだそうだ。心中ものというと、定番の構図のようだが、細部に分け入ってみるとどんどん曖昧になって、愛が揺らいでいく。遠くで見ると確かなものが、近くに来ると不確かになる。分析するとないものが、総合するとある。そういったパラドクスに興味をおぼえる人みたい。次回作がたのしみです。
 ところで、芥川龍之介の「西方の人」には奇跡について、こんな一節がある。
‘クリストは奇蹟を行ふ度に必ず責任を回避してゐた。
「お前の信仰はお前を瘉した。」’
 横浜に行ったのは、大岡川の桜も目当てだったのだけれど、この日はあいにく、かなりの雨風で、お花見日和というわけにはいかなかった。