大阪‘府’全体で投票してみたらは?

knockeye2015-05-20

 大阪都構想が否認されたのは残念だったが、本質的には、国歌斉唱の強要あたりで不信感を持たれたと思う。国歌や国旗が中央集権の装置なのは誰でも分かる。都構想で二重行政が解消されても、その結果として、中央集権が強化され、自治権が縮小されたのでは、地方分権に向かう時代の流れに逆行する。
 都構想と国歌の強要は本質的に矛盾している。本質的に矛盾していると推進力を失う。それだけのことだと思う。
 しかし、大阪都構想の否認でいちばんダメージを受けたのは安倍晋三かもしれない。「あのとき都構想が実現していれば」と後に思うことになるかもしれない。安倍晋三という人は、第一次安倍政権の時も、郵政選挙で除名した政治家を復活させたり、順調なときに脇が甘くなるみたい。
 今回の場合は、アメリカ訪問がまず上首尾といってよい結果だったので、ちょっとほっとしていたということがあるだろう。ウルトラCとしては、中央からもう一度大阪都実現を働きかけることも可能だと思うが、それはそれでややごり押しの感じもあるので、「都構想」というあまりセンスのよくない名称を取りやめて、単に「二重行政解消特区」みたいなやり方は可能かもしれない。
 橋下徹の政界引退については、残念だけれども、「大阪都構想」実現に向けて政治活動をしてきた人なので、それが否認されたかぎり引退するのも、引き際としてはまっとうな話だ。政治家の世襲になれすぎていて、政策実現のために政治家がいるというまっとうなことが、珍しく見えてしまうから情けない。
 ただ、引退撤回というようなことがあっても驚かないつもりだ。というのも、投票結果は「僅差」といってよい、賛否が拮抗している状況なので、大阪市だけでなく大阪府民全体の意見を聞いたときどうなるかは分からないと思う。松井一郎大阪府知事には、大阪府民全体に住民投票を呼びかけてみてもよいのではないかと思う。