「マギーズ・プラン」

knockeye2017-02-05

 去年「ヤング・アダルト・ニューヨーク」という映画があった。ベン・スティラーナオミ・ワッツ、アダム・ドライバー、アマンダ・サイフリッド。あの映画が好きだったって人は、この「マギーズ・プラン」も楽しんでいただけると思います。
 主演は、「フランシス・ハ」のグレタ・ガーウィック。だけど、ジュリアン・ムーアイーサン・ホークも、主演って言っていいんじゃないかな。この三人の、かなりユニークな三角関係が映画の主筋です。
 私ももう年だし、つくづく変な時代に生きてるなって思う。映画の冒頭、主人公のマギーが高校時代の元カレに「私はオトコと6か月以上続かない質だし、精子バンクから精子を買って人工授精しようと思う」みたいなことをいうんだけど、「ねらってるな」とか「奇をてらってる」とか感じない。なるほど、その方が結婚生活よりリスクが低いなとか納得してしまう。その一方でマギーはクエーカー教徒だったりする。
 イーサン・ホークは名前を聞くだけで観に行きたくなる俳優さんのひとり。「6才のボクが大人になるまで。」は面白かったね。
 今回のイーサン・ホークの役どころはすごいと思う。その辺のだらしないやつに見えるけど、実はかなり複雑で、この人がふつうにいそうに見せるのはイーサン・ホークの存在感だと思う。
 ジュリアン・ムーアとグレタ・ガーウィックのふたりに翻弄されてるようにも、イーサン・ホークふたりの女を翻弄してるようにも見える。そのあたりの、誰のせいともつかない不思議な化学作用が実にうまくいってるし新しい。
 ジュリアン・ムーアも、アカデミー主演女優賞を受賞した「アリスのままで」のときより断然チャーミングだと思う。
 アメリカでは2015年に公開された映画だそうで、どうして今日本で公開されたか知らないけど、公開してくれて感謝です。得した気分。
 ジュリアン・ムーアが登場するシーンがシンポジウムでの公開討論なんだけど、そこで議論されてるのが、例の「オキュパイ・ウォールストリート」について。さっと通り過ぎたから完全には意味をとりかねたけど、ちょっと面白い議論だと思った。