残業はそもそも「働き方」の問題ではない

knockeye2017-05-19

 働き方改革とか最近なんか話が変な感じなのでひとこと書いとこうと思って。
 とはいえ、言いたいことは単純。残業は管理側の問題で、労働者側の問題ではない。それだけ。あたりまえなんだけど、話を聞いてると、なんか残業が現場の自由裁量で何とかなるみたいな勘違いにも聞こえてまさかと思うけど一応確認しておきたくなった。
 「生産効率」がどうのこうのと書いている記事も見かけたが、その「生産効率」こそまさしく管理側の問題であって、労働者側の問題ではない。個々の労働者の能力はまちまちだろうが、それは当然であって、それと「生産効率」は関係ない。生産しているのは企業総体なんであって、個人は労働を提供しているだけ、生産はしていない。だから、個人の生産効率なんてものはない。
 どんなに能力の高い労働者であっても、その能力を超える仕事量が与えられれば残業になる。残業は発生するのであって、労働者個々人の「働き方」とは本来関係ない。一日1〜2時間くらいの残業は誰も問題視しないだろう。今話題になっている月に100時間の残業は、月に20日働くとして毎日5時間残業するってことなのである。これを聞いてぽかんとしている人は、たぶん、箸より重いものは持ったことがない階級に属しているだろう。過労死ラインでさえ80時間。月60時間を超えるとかなりきつくなる。
 さっき書いたように1〜2時間の残業は当然発生する。トラブルも起こる、想定より仕事量が増えることもある。明日のことを考えれば、その程度の残業はやってった方がかえって楽なのよ。それなのに、残業しないで帰るのは矛盾でしょう。
 しかし、それが月80時間とか100時間とかになってくるなら、それはもう労務管理が破たんしている。管理職の怠慢というしかない。つまり、1日1〜2時間の残業、月に直せば40時間以内の残業と、月80時間を超えるような残業とは質的にちがう。
 月に100時間を超える残業を放置していたとなれば、その管理職は管理責任を問われてもおかしくないはずなんだが、日本の職場では、管理職の権限や責任があいまいすぎると思う。というより、実態は、労働者が名目上管理職となっているだけの場合がほとんどだと思うけどちがうだろうか。本来、職場の生産効率を上げるも下げるも管理職の能力にかかっている。とりもなおさずそれが管理なんだから。ところが日本の場合、家族型経営っていうの?。家族になった覚えはないんですけど、そんな歯の浮いたようなことを言う裏側で、本来は管理職の仕事を現場に丸投げしている、現場の善意につけこんでいるだけっていう職場が多くないですかね?。
 仕事のできない人間がぐずぐず残業をして、仕事のできる人間はさっさと帰る、みたいなことを書いている記事もありましたが、多分想像で書いている。私の見てきた現場では、そもそも仕事のできない人は勤務中もぶらぶらしてるだけだから、定時になればとっとと帰る。その分、仕事のできる人のところにどんどん仕事が集まってくるってのが実情だったように思います。