萱野稔人の共謀罪についての発言

knockeye2017-07-18

 萱野稔人のインタビューに、共謀罪についての発言があった。それによると、「国際組織犯罪防止条約」という国際条約があって、この国際条約に入るには、共謀罪を作る必要があるそうだ。
 当時の報道では「共謀罪がないとオリンピックもできない」といった安倍首相の発言が、さも脅しのように取り上げられていたが、たぶんマスコミは、「国際組織犯罪防止条約」にフォーカスが当たらないように細心の注意を払ったのだろう。
 民進党は、共謀罪なしでも締結できると主張したらしいが、萱野稔人は、それは現実的ではないと思っているようだ。
 共謀罪の問題がどこにあるかというと、それは、立法の側ではなく、それを現実に運用する行政組織、警察が問題だらけってことなのだ。捜査の可視化すら実現できていない、いったん逮捕されれば、有罪率99.9%の国で共謀罪なんてとんでもない。
 なので、共謀罪の国会論戦(もしそういうものが存在したなら)は、警察の権力にきちんとしたくびきをかけるチャンスであったはずだが、民進党は支持率にしか興味がないので、マスコミといっしょに騒ぐ、デモを盛り上げる、などの選挙対策に夢中で、せっかくのチャンスを逃してしまった。
 おそらく、民進党が政権党であっても共謀罪は成立しただろう。ちゃんとした野党が存在せず、国民に選択の自由がなく、権力闘争は官僚と自民党で戦われている、この状況では自民党の側につくしかないが、自民党には日本会議っていう戦争の亡霊みたいな連中が食い込んでいる。どっちに転んでもろくなことにならない。
 萱野稔人
「もうあまり思想論壇そのものに興味がなくなってきているんです。そして思想を使った社会批判が成立する時代は終わったと思っています。遠くから、大風呂敷で権力を批判することに、もう説得力はない。もっと事象に肉薄していかなければ駄目だと思います。」
という危機意識は確かにそうなんだと思う。ただ、「事象に肉迫」するには、新しいシステムが必要で、それはまだ見えないのが現状である気がする。
感情論の時代だからこそ「なぜ」を問い続ける――哲学者・萱野稔人インタビュー #2 | 「哲学」の時代 | 文春オンライン 感情論の時代だからこそ「なぜ」を問い続ける――哲学者・萱野稔人インタビュー #2 | 「哲学」の時代 | 文春オンライン