奇妙なイベントだった

knockeye2017-08-10

 加計問題ってのは、奇妙なイベントだった。
 愛媛に獣医学科をつくりますって話が、どっちにどう転んだってスキャンダルになるだろうか?。しかし、事実として、それがここ何ヶ月か日本の政治報道のトップイシューだった。奇妙な話だ。
 何度も書いてきたように、もし、安倍政権を追い詰めるつもりがあるなら、TBSの元ワシントン支局長のレイプ事件を追求すべきだったろう。レイプ事件を政治力で揉み消したことが明らかになれば、どんな政権もひとたまりもない。
 ところが、どこをどう突いても誰の腹も痛まない加計問題を騒ぎたてて、レイプ事件については、示し合わせて緘黙を守っている、この報道の背景に何があるのかハッキリとしたことは言えそうにない。しかし、目前でレイプを目撃しても平気で黙殺するのが記者クラブメディアだということは、これで彼ら自身が証明してくれたわけである。
 マスコミを、一般的な意味でのジャーナリズムととらえず、官僚組織の広報と捉えるとしたら、敢えてTBSレイプ事件を取り上げず、加計問題を焚きつけた意味は少しは分かりやすくなる。官僚に安倍政権を打倒する意図はないということになる。その代わり、いくつかの譲歩を引き出したってことなのかもしれない。
 内閣改造での野田聖子のような族議員の入閣、唐突な消費税増税の確約、それから、小さな記事だが、西日本新聞の記事によると、政府による天下り調査の切っ先がだいぶ鈍っているようだ。
天下り調査 どこまで実態に迫れたか - 西日本新聞 天下り調査 どこまで実態に迫れたか - 西日本新聞
  文科省の違法事案を認定した政府の再就職等監視委員会は、今回の調査にはまだ関わっていないようで、「国家公務員法が義務付ける再就職の届け出をした6372人に調査票を郵送して回答を求めた。府省庁幹部への聞き取りを加味したというが、自己申告型のお手軽調査だ」そうである。文科省天下りに手を突っ込んだことに対する報復に効果があったと見える。
 いずれにせよ、政治の現状は、政権と官僚とのマウントの取り合いで、そこに有権者の入る余地はない。こうした国民不在の政治の在り方は、民主主義にとって異常であり、国民にとって不幸だろう。国民はニ度の政権交代でこの状況に異を唱えたのだが、使命感のある政治家が存在しなかったのは残念だった。
 ただ、一連のから騒ぎの結果、日本会議神社本庁の露骨な政治介入の勢いが殺がれたことだけはよかったと思っている。