首相案件 その2

 先日、長谷川幸洋の説明に納得した「首相案件」だったが、1日をおかずに、郷原信郎の反論が上がった。
ここ。

 さらに“国家戦略特区は首相が議長なのだから「首相案件」と語るのは当たり前”という主張になると、もはや「お前は小学生か」とつっこみたくなるレベルだ。

首相を議長とする機関の決定がすべて「首相案件」になるというなら、加計以外の国家戦略特区指定や経済財政諮問会議はじめその他の首相を議長とする会議、さらには閣議決定までがすべて首相案件ということになるが、いったい誰がそんな呼び方をしているというのか。

でも、これはメモに書き付けただけの言葉で、メモを書いた本人が分かればいい「符丁」にすぎないわけで、正式な呼称ではないし、だからこそ「メモに『首相案件』ってあるぞ」って騒いでるのは何故かなって疑問に思うわけで。

 しかも、“国家戦略特区は首相が議長だから”という主張については、もっと決定的な嘘がある。それは、この首相案件文書が、“首相が議長の国家戦略特区”への申請を決める前の段階の文書だということだ。公開された面会記録のなかの柳瀬首相秘書官の発言録では、いちばん最初に「本件は、首相案件となっており」と記され、そのあとに「国家戦略特区でいくか、構造改革特区でいくかはテクニカルな問題であり、要望が実現するのであればどちらでもいいと思う」と記されている。つまり、まだ特区で申請する可能性もあったわけだ。

でも、郷原信郎もこの後すぐ書いているように「構造改革特区は首相が構造改革特別区域推進本部の本部長ではある」んなら、発言録どおり「テクニカルな問題」にすぎず、大雑把に言って「首相案件」で問題ない気がする。

そもそも、この文書の問題は「首相案件」という言葉だけではない。加計学園愛媛県だけが首相官邸から特別扱いを受けていることが問題なのだ。まず、特区申請者が官邸にまで招かれ、首相秘書官と面会をすることなど普通ありえない。実際、その国家戦略特区で獣医学部新設を申請した京都産業大学は、官邸を訪問したことなどない。それどころか、加計学園に対して文科省は新設が認められるようにアドバイスまでおこなっているが、京産大文科省との事前協議さえ拒否されている。こうした加計学園に対する依怙贔屓こそ、「首相案件=腹心の友への優遇」の証拠ではないか。

この問題について、郷原信郎の意見に納得できないのはこの部分で、経緯を考えると「依怙贔屓」というほどのことではない気がする。というのは、愛媛県がずっと「加計学園ありき」でやってきたことについて、文科省と獣医学会の意向で長年阻止されてきたわけだから、ここで、京産大ってならないでしょう、普通。
 で、「特区」ってこと自体が、言い方を変えれば「依怙贔屓」なんで、既得権益団体の抵抗があって、いきなり全国区といかない案件を、「特区」という形で認めましょうということなんだから、その趣旨を考慮すれば、愛媛県加計学園なってなるのは、「依怙贔屓」っていうほどのことと思わない。
 この程度のことでデモに繰り出す意味が分からない。原発問題とか、安保問題とか、あれはデモも起こるだろうなと思ったよ。でも、加計問題が、それと同じレベルの問題か?、たとえ、「依怙贔屓」としても。納得できないんだよね。
 それで、森友問題はどうしたのよ?。あっちは検察が立件を見送ったんだから、いよいよ国会で証言できるでしょ?、佐川さん。呼ばないの?。一時は、「財務省解体か?」くらいだったのに、もう興味ないのかって。
 こういう態度を見てると、問題の真相を明らかにするのが目的じゃなくて、政争の具にしたいんだなって見えちゃうんですよね。
 もうひとつ郷原信郎さんのこの文章で、自分と意見の違う人たちを、ひっくるめて「安倍応援団」とかレッテルを貼る態度は、良くないと思う。結局、党派心が根っこなのかなと思っちゃうね。