『今を生きる親鸞』

 吉本隆明の『今を生きる親鸞』という本がデジタル書籍で手に入ったので読んだが、『最後の親鸞』と比べると「ゆるい」という感想がまず来る。あとがきを見ると、どうも「語り」の企画であったそうなので、成立過程までよくわからないが、もとは講演かなにかの口述筆記だったのではないかと思う。
 書かれていることは同じようであっても、解像度というか緻密さが違う。『最後の親鸞』は、「一編の思想詩を書き終えたかのよう」だと書いていたと記憶している。
 週刊現代中沢新一が連載している「アースダイバー」、今は「東京下町編」になっている中に、第二十回から4回、吉本隆明について書いていた。
 吉本隆明は、評価する人としない人に、結構はっきり分かれるようだ。中沢新一は、評価しているようだ。小林信彦は評価していた。鶴見俊輔上野千鶴子は評価していた。坂本龍一も評価していた。小熊英二は評価していなかった。福田和也坪内祐三はともにあまり評価してなかった。
 これらの肯定と否定が親鸞に対する肯定と否定に重なるかどうかわからないが興味深い。