鳩山由紀夫の沖縄県知事選立候補について

 鳩山由紀夫元首相が翁長雄志沖縄県知事の告別式に参列し、「自分の力と決意が強ければ米国にものを言えた。それができなかったことは今でも県民に申し訳ないと思っている」と言った。
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/298429
 沖縄の米軍基地移転を公約に掲げた選挙で、民主党は圧倒的に勝った。言い換えれば、基地移転は圧倒的な民意だったのだから、それを実行しない選択は、鳩山由紀夫にも民主党にも許されていなかった。少なくとも、民主主義国家の常識では考えられない。
 まして、当時の米国の大統領はオバマだった。もちろん、米軍の利益を考えれば、官僚レベルに反対があることは想像できたが、オバマ個人の政治信条を考えれば、もし、鳩山由紀夫がトップ会談で基地移転について切り出せば、実現した可能性はあった。
 いまさら、仮定の話をしても仕方ないが、しかし、これは、今だから「仮定の話」に見えるだけで、基地移転を公約に掲げて308議席を獲得する大勝利を収めて就任した日本の国家元首が、そもそもなぜ、この問題について、オバマとトップ会談すら設けなかったのか?。日本国内の防衛官僚に言いくるめられて、公約をひっくり返したのか?。
 普通の国の政治家なら、または、普通の政治家なら、基地移転を公約に掲げて選挙に勝った、その次に取るべき行動は、オバマとそれについて膝を詰めて話すことだと思うのだが、鳩山由紀夫はそれすらせずに、なぜ防衛官僚なんかと話をする必要があったのか?。
 主権者は国民なんで、主権者の代表が、選挙で示された圧倒的な民意を、官僚に言いくるめられて撤回することが、日本以外の国でありうるのか?。これは、オバマ鳩山由紀夫の立場を逆転させて考えればわかる。オバマ鳩山由紀夫の立場だったら、1週間かからずに事態が動き出したはずだし、そうでなければ、政治生命にかかわるはずだ。
 基地移転を撤回することで、鳩山由紀夫は、沖縄県民だけでなく、政権交代選挙で示した民意を踏みにじった。この問題についての国民の選択肢を奪い、国政選挙の信頼性を奪い、二大政党制の可能性を奪い、民主党の存在意義を奪った。
 もし、あのとき、基地移転を実行していれば(ちなみに、当時は、基地移転先の候補とされていたテニスンの知事が来日さえしていた。普通の国の常識では、基地移転は避けられななかったのがよくわかるはずだ)、今、政治の風景はまったく違ったはずだった。
 もし、鳩山由紀夫が、公約に基地移転を掲げて、次期沖縄県知事に立候補し、立憲民主党をはじめ、野党が団結して、これに呼応するなら、これは大きなうねりになりうる。本当に「申し訳ない」と思っているなら、それをやる価値はある。

鳩山由紀夫沖縄県知事立候補