フェルメールのリクリエイト展

 横浜そごう美術館で、フェルメールのリクリエイト展。これは、何年か前、たしか銀座でもあったやつ。フェルメール・フリークの福岡伸一が企画したもので、世界で確認されているフェルメールの油彩画37点すべてを、現在の技術の粋を極めて複製したもので一覧することができる。しかも、複製なので全品「写真を撮ってもいいですよ」ってこと。同じく横浜そごう美術館で以前に開催されていたリクリエイト展では、一部は、「さわってもいいわよ」ってなってた。
 ホンモノは撮影不可だけど、複製なので撮影してもいい。?。「ノーモア映画泥棒」は分かりますよね。無料で流出したら興行収入にかかわる。でも、絵はどうして?。絵の写真を撮っても「絵画泥棒」にはならないですよね。
 絵の写真が実物の絵と違うのは、テレクラ嬢の実物が写真と違うがごとし。むしろ、今回のリクリエイト作品ほどになると、素人にはホンモノと見分けがつかない。ましてや写真となると、ホンモノの写真とニセモノの写真を見分ける意味さえないし。
 東京国立博物館の常設展は写真を撮ってもよくなっているけれど、同じ国立博物館でも、京都国立博物館はダメ。サイトによると
「作品保護、所蔵者権利保護、観覧環境の保存の為、写真撮影はご遠慮ください。」
だそうです。
 「観覧環境」は、分からんではない。ても、常設展がゴッタ返すってことは見たことがない。「所蔵権利保護」って、でも、国立博物館の所蔵品は、寄託を除くと、国民の財産かと思ったけど。「作品保護」については、写真に撮られると魂が吸い取られるっていう説があるから、それは必要なのかもしれない。
 まあ、写真に撮るのが目的じゃないから、主催者の判断で「撮るな」というなら撮らないけど、それでも、撮る人は撮るじゃない?。見せる工夫が足らないって気がしますね。

 37作品すべて撮ったつもりだったけど、後で数えたら一枚足らなかった。
 それと、

この《聖女プラクセデス》は、数日前に上野の国立西洋美術館で、ホンモノを観たばかりだったんだけど、リクリエイトの方が色が鮮やかですね。描かれた当時の色彩を再現しようとしているのがよくわかりました。
 2016年に横浜美術館で「複製技術と美術家たち」という展覧会があった。その時の図録によるとヴァルター・ベンヤミンって人が「複製技術が絵画の“アウラ”を凋落させる」といってたそうなんだけど、でもない気がしますね。そもそも「アウラ」が何のことかわかりませんし。