バッドアート美術館展

 東京ドームシティ、ギャラリー・アーモってとこで開催中の「バッドアート美術館展」を観てきた。
 度肝をぬかれたのは

この《セーフ》という絵。

という具合に、しりあがり寿さんのコメントも楽しい。野球場には魔物が住むってよく言いますけど、こんな奴だったとはな。審判とキャッチャーとランナーの間に絶妙に滑り込んでる。頭もないのに、すごい身体能力で、下半身は人間じゃない。
 これなんか

なぜポール・シニャック風に描いたかがなぞ。
 それから、これなんか


真のアンフォルメル。ニキ・ド、サンファルに「射撃絵画」ってのがあったけど、あっちの弾は絵の具ですからね。

これは、オタワの路上に、ゴミの日に出してあったんだそうです。この絵なんか見てると、ゴミの日に出すか、美術展に出すかの基準がわからなくなります。下手な絵はゴミに、うまい絵は美術展に、っていうんじゃない気がする。

 この《犬》は、なんで山と同化したのか、日本では「農鳥」とかいって、雪解けの頃に山に現れる鳥のかたちを田植えの時期の目安にしてたりしますが、これもそれなのかなあ。それとも、犬に見えて、実は粘菌なのかも。粘菌は山を覆うほど巨大化することがあるそうです。
 それからこれは

このコレクションの真骨頂じゃないかと思いました。描いた人の意図は分かるんです。でも、見れば見るほど、馬の生首をかかえた女にしか見えない。というか、そう見ればすごい迫力だという。タイトルの付け方もうまい。マリー・ジャクソンって人が考えてるらしいんだけど、この絵のタイトルは《考え直してくれないかしら》。これも、ボストンのゴミ捨て場から回収されたものだそうです。まさにアッシュカン・スクール。

 このイエス・キリストはいい人だわ。パーティーに来てもらったら、ぜったい場が和むってタイプ。ソツがないっつうか、如才ないっつうかね。悪くいう人はいないでしょうね。信仰の対象にはならないけどね。
http://museumofbadart.org