『こんな夜更けにバナナかよ』

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こんな夜更けにバナナかよ
 今年の初映画は『こんな夜更けにバナナかよ』でした。
 大泉洋が、首から上と手しか動かせない人を見事に演じています。トナカイの被り物をして「オレが楽しんじゃいけないのかよ?」と電話してるシーンなんてホントうまいなと思いました。
 萩原聖人渡辺真起子という『きみの鳥は歌える』のふたりがここでもいい味をそえていました。実話なので、この2人が演じている古馴染みのボランティアが、もともと友達だったのか、それともボランティアとしての付き合いなのかは、よく分からないんですけど、介護する側とされる側が「対等」っていう価値観がよく分かりました。
 「オレは困ってる人を助けたいんで、鹿野さん、結構楽しんでるし」みたいなことを言って辞めていくボランティアがいたんですけど、やっぱ、それは間違ってると思います。
 高畑充希って女優さんは、独特のエグ味っていうか、ザラっとした引っかかりがある人だと思ってるんですが、この映画は、大泉洋三浦春馬との三角関係っていう骨格もあるので、その辺を支えるヒロイン役としては、このくらいの存在感がないと、お姫様みたいな女優さんではダメだったと思います。
 こういうことを書くとネタバレと言われるかもしれないですけど、大泉洋高畑充希にプロポーズするところを見て、この鹿野って人は、ホントにスゴイカッコいいなと思いました。
 母親役の綾戸智恵もすごくいいなと思いました。メインプロットとは関係ないところなんですけど、主人公のキャラクターに説得力を持たせる重要な役割なので、ここの脚本がきちんと書き込まれていて、ちゃんと演じられているのは、たぶんいい映画の条件のひとつなんじゃないでしょうか。
 ピンク電話とか時代背景もしっかりしていて、三浦春馬は、ポロシャツをパンツインしてても、結局いい男はいい男なんだなと。大泉洋三浦春馬高畑充希っていうキャスティングは、大成功だったと思います。
 今年の初映画がいい映画で、ちょっと嬉しいです。