先週末は、ずっとペンディングになっていた展覧会ふたつにようやく行くことができた。
ひとつは、森アーツセンターギャラリーでやっている「新・北斎展 HOKUSAI UPDATED」。これは、鶴首して待っていたってほどではなかった。森アーツセンターギャラリーで北斎はめずらしいな、くらいの感じ。ところが、いざ行ってみたら、最初は「ただいま60分待ち」、次の日は「50分待ち」。今回は土曜日の午後7時くらいに訪ねてようやく「30分待ち」ということで、それならまあ待てるかと。どうしても観たいひとはそれでも並ぶんだろうけれども、個人的には、北斎もたいがい観てきた。小布施の北斎館にも行ったし、太田記念美術館でやった回顧展もみた。もちろん、初めて見る絵はたしかにあるので、観てみたいなとは思うのだけれど、日本画といえば北斎みたいな最近の風潮は、ちょっとどうなんだろうと疑問に思う。
たとえば、今、東京都美術館で開催されている「奇想の系譜展」に展示されている、長澤芦雪の≪龍図襖≫
と、今回の「新・北斎展 HOKUSAI UPDATED」に展示されている
とくらべて、なぜ北斎ばっかりに人が群がるんですかってこと。
北斎の≪富士越龍図≫
はよいけれど、雪村の≪呂洞賓図≫
もすごいんですけどってことをいいたいわけです。
龍ってことで言えば、海北友松(かいほうゆうしょう)という名手がいるし、曽我蕭白、円山応挙、狩野芳崖といったひとたちの龍もぜひ見てほしいなと思うわけです。
ちなみに翌日に鎌倉国宝館で開かれている「北斎と肉筆浮世絵」展にも行きました。氏家武雄という人が集めた氏家浮世絵コレクションの名品だそうでした。
もよかったのですが、個人的には西川祐信の
がいちばん気に入りました。錦絵の創始者、鈴木春信が私淑した上方の浮世絵師です。鈴木春信の肉筆画という珍しいものも一点ありました。
ペンディングになっていたもうひとつの展覧会は、Bunkamuraミュージアムで開かれている「くまのプーさん」展。
これも何回かトライしてたんですが、最初行った時なんか、あそこの会場は地下なんですけど、行列の最後尾が一階の踊り場までつながってた。こちらも宵にまぎれる作戦でなんとかしました。
ディズニーのアニメで有名なくまのプーさんですが、アーネスト・ハワード・シェパードの原画が堪能できました。
トーベ・ヤンソンのムーミンもそうですが、挿絵なんですごく小さい。トーベ・ヤンソンのムーミンには、本になってる絵よりも小さいものもありました。ちなみに、四月九日から森アーツセンターギャラリーでムーミン展があるそうです。
鎌倉では、鏑木清方美術館も訪ねたのですが、鏑木清方は、一時期、展覧会に出展するのをやめて、挿絵に専念していたことがあったと記憶しています。自分の本分を挿絵画家と考えていた節があると思います。