学歴と教養

 丸山穂高という衆議院議員が、北方領土の元島民のビザなし渡航についていって、元島民の代表に「団長は戦争でこの島を取り返すことは賛成ですか、反対ですか」「戦争しないとどうしようもなくないですか」といった質問をして、所属していた維新の会を除名されたそうだ。
 この話を聞いて思い出したのは、少し前に、週刊現代佐藤優が書いている、書評のコラムで、竹中平蔵の著書をとりあげて、日本の官僚の学歴の低さを問題視していたことである。
 鈴木宗男の懐刀と目されている佐藤優小泉純一郎のブレーンだった竹中平蔵の著書を取り上げるのがまず意外だったが、取り上げられている問題はむしろシンプルで、著書全体の内容というより、竹中平蔵ダボス会議で見聞した日本の官僚のダメさ加減をとりあげているだけだ。
 世界を代表する政治家や実業家が一堂に会して討議するダボス会議で、日本の官僚はほぼ「壁の花」と化しているそうなのだ。
 佐藤優がいうには、日本の官僚は世界基準で観ると「低学歴」だそうだ。というのは、東大卒ですぐに官界にはいらないと後の出世レースにのり遅れるので、学部卒以上の学歴を身につけないのが慣例だからだそうだ。
 東大だろうがせいぜい学部卒では「低学歴」といわざるえないし、問題は、学歴はともかく、ダボス会議の場で議論についていけない程度の教養しか、現に、彼らが身につけていないということで、この人たちが日本のかじ取りを誤るのはむしろ当然なのかもしれない。
 ちなみに佐藤優同志社大学の神学部卒で、外務省にはいったあとイギリスに留学した。官僚としては変わった学歴である。もともとチェコキリスト教に興味があって、それを研究するつもりであったらしい。
 鈴木宗男が政治家として復活するに際して、佐藤優の力が大きかったことはまちがいない。能力のあるブレーンには学歴ではなく教養が必要であるといえる例だと思う。
 問題の丸山穂高議員も東大卒、それに、まえに「ちがうだろー」で話題になった女性議員も東大卒なんだが、このひとたちの教養の低さは一目瞭然なんだが、そうなると、日本の官僚や政治家は、教養も低い、学歴も低い、ということになる。
 学歴が低いから教養が低いのはむしろ当然なんだが、そうなると、東大を頂点とする日本の教育のシステムは、国際的に通用しない人材を量産しているだけということになる。
 考えてみれば、中曽根首相くらいまでは、戦前の教育を受けていた人たちで、戦後の教育システムはエリートを育てるのに失敗したと言えるのだろうと思う。
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