ルート・ブリュック展

 ことしは、日本とフィンランドとの外交関係樹立100周年だそうで、東京ステーションギャラリーでは、前回のアルヴァ・アアルトにつづいて、ルート・ブリュックの展覧会が開かれている。

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ルート・ブリュック展 東京ステーションギャラリー

rutbryk.jp

 森アーツセンターギャラリーで開かれているムーミン展も一連のの行事だそうである。2015年、トーベ・ヤンソンの生誕100年記念展は観た。ムーミンのうみの親のトーベ・ヤンソンが女性だとこどものころは知らなかったので、そうと知った時は意外な感じがした。レズだと知った時はもうじゅうぶんに大人だったので、何とも思わなかったが。
 すこしまえにヘレン・シャルフベックっていう、これもフィンランドの魅力的な画家の展覧会を観たけど、「モダン・ウーマン―フィンランド美術を彩った女性芸術家たち」という展覧会も、6月18日から国立西洋美術館で開かれる。

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 このルート・ブリュックも女性だそうです。
女性の陶芸家というと、ルーシー・リーを思い出すけど、ルート・ブリュックは、今回の展覧会を見た限りでは、陶芸家というより、むしろ絵描きさんで、絵の具の代わりに粘土をつかっているという感じ。

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≪結婚式≫ルート・ブリュック

 このころ、1940年ころは、「スグラフィート」という掻き落としの技法で描いているそう。

 その10年くらいあとには

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こんな具合に、線が凸になる。「スリップ・キャスティング」といって、石膏に絵を彫り、それを型として、そこに泥漿を流し込む。そうやってできた線の土手のなかに釉薬をながしこむ。

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この独特のグランジ感は、表面をひっかいた上に酸化金属をすりこみ、それからふき取ることで出しているそうだ。

 晩年、というか、後年には、抽象的な表現に移行する。それも悪くはないけど、でも、タイルってもともと抽象だから、タイルを使って抽象表現をしようとすれば、もっと、モダンに工業化されてもよさそうなのに、どこか作家性を感じさせる。

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 これは、ルート・ブリュックの娘さんで、現代芸術家のマーリア・ヴィルカラが、ルート・ブリュックの残したタイルピースを使って作った≪心のモザイク≫というインスタレーションですけど。

 余談だけど、この展覧会も撮影可だったんだけど、ただ、初期のころのが展示してあるワンフロアのみで、後年の抽象的なのは撮れなかった。中期のころのちょうちょのなんかは素敵だったんだが、ちょっと残念。
 なんか、シャッター音がうるさいという苦情があったらしくワンフロアのみになったとか言っていた。
 確かに、うるさいと思わぬでもなかった。わたしは、ストロボはもちろん(絵を撮るのにストロボたいても反射するだけですぜ)、シャッター音もAF補助光も切ってある。
 スマホで撮影することはめったにないが、カメラを忘れた時なんかに使うので、これは、iPhoneだけなのかどうかしらないが、「ヤメラ」というアプリを入れてある。シャッター音はしないし、露出補正くらいはできる。