五島美術館「筆墨の躍動」と静嘉堂文庫美術館「入門 墨の美術」

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伝 周文≪四季山水図屏風≫(左隻)
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伝 周文≪四季山水図屏風≫(右隻)

 静嘉堂文庫美術館の、伝 周文≪四季山水図屏風≫は、三年がかりの修復後初公開であるそうだ。たぶんこれだけでも見に来る価値がある。

 同じく、周文筆と伝来した≪山水図≫も修復後初公開。

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≪山水図≫

 雪村の≪柳鷺図≫

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雪村≪柳鷺図≫

 祥啓の≪巣雪斎図≫。

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祥啓≪巣雪斎図≫

 五島美術館では、「筆墨の躍動」。
 一休宗純の≪梅画賛≫。

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一休宗純≪梅画賛≫

「看々曹源通要津 導涓宗海是何人氷消瓦解 三千界一片開花一片春」と書いてあるそうです。
 この絵が描かれたのが室町時代、十五世紀半ば。同じ梅の絵で、呉昌碩という中華民国の人が1921年に描いた≪紅梅図≫があった。斉白石の絵にも感じたが、この時代の中国の水墨画は空間意識を失ってると見える。

 古い時代の中国の水墨画がもっていた、絵の中に引き込まれる感覚がなくなってしまって、墨を使ってはいるが、西洋の油絵のように、描写しようとしている。山水画ではなく風景画になってしまっていると感じる。
 
 珍しいところでは、狩野探幽の≪旅絵日記≫という画巻があった。
 
 五島美術館といえば、≪古伊賀水指 銘 破袋≫も出展されていた。織部舟形手鉢の緑釉のたまり具合が美しかった。美術館のサイトに写真はあるが、肝心のその部分は写ってない。

 五島美術館の庭は、せっかくダイナミックな起伏があるのに、水の表情に乏しいのが残念だと思う。一貫した水の流れで庭全体をつなぐべきだと思う。

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五島美術館の庭