2009-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「インスタント沼」

三木聡のふざけ方には気合が入ってきた。生半可な観客は圧倒されるのではないかと思う。 「転々」に次いで発表された本作は、もし「転々」がお気に召した方は見ないと絶対損をする。 「転々」は、藤田宣永の原作小説の、 「借金をチャラにしてもらう代わりに…

翌日の渋谷

最近はさすがにばかばかしくてNHKのニュースも見ないが、ザッピングの途中にたまたま停まっていたりして、こんな報道が耳に入った。 「来月から薬の販売の<規制が緩和され>薬剤師がいないコンビニでも薬が販売できるようになります・・・」 この報道は…

「重力ピエロ」、「風をあつめて」、「ヤッターマン」

桑田啓祐がはっぴぃえんどの「風をあつめて」を歌っていた。 それで思い出したのだけれど、「スラムドッグ$ミリオネア」の兄弟が見下ろしているムンバイの町、これはどこかで見たと思ったのは、「風をあつめて」の 「緋色の帆を掲げた都市が停泊してるのが…

僕と1ルピーの神様

ぼくと1ルピーの神様 (RHブックス・プラス)作者: ヴィカススワラップ,ヴィカーススワループ,子安亜弥出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン発売日: 2009/02/20メディア: ペーパーバック購入: 7人 クリック: 50回この商品を含むブログ (70件) を見るい…

あとから思い出したけど、桂花枝はいまは三代目桂あやめを襲名している。

柳家小三治独演会

八王子のいちょうホールにて 「柳家小三治独演会」。 大ホールであるにもかかわらず全席完売。空席ひとつ見つからない。これといった告知もなくこれだけ人が呼べる噺家はあまりいないだろう。 この独演会もたまたま夢美術館にムットーニを見に出かけたときチ…

「重力ピエロ」

伊坂幸太郎の小説はこのところつぎつぎと映画化されることで話題になっている。 私自身も「アヒルと鴨のコインロッカー」、「フィッシュストーリー」そしてこんどの「重力ピエロ」と立て続けに見た。が、実は、伊坂幸太郎という原作者の存在を意識したのは、…

葛藤が宿る場所

鳩山由紀夫が民主党代表になったので、「次の首相に誰がふさわしいか」というアンケートをテレビでとっていた。その結果をみると、一位に来るのは麻生太郎でも鳩山由紀夫でもなく、今でも小泉純一郎である。 一般の人の多くはたぶん政権交代を望んでいる。で…

秋葉原の通り魔事件のときに、テレビに出演していた斉藤環というひとが 「戦後の日本の若者は『生物学的謎』と言われるくらい人を殺さない」 といっていたのがずっと印象に残っている。 今週の「爆問学問」進化生物学者の長谷川眞理子の回は、まさにその話だ…

日本マスク

「さまぁ〜ず・さまぁ〜ず」を見ていたら三村が一家全員発熱中だそうで、ご本人も38,9℃の高熱だという話題になった。すかさず画面の下に「この番組は5月4日に収録しました」というテロップが流れる。 この頃、薬屋のマスクは品切れ、街中はマスクした人…

虎と月

虎と月 (ミステリーYA!)作者: 柳広司出版社/メーカー: 理論社発売日: 2009/02/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 20回この商品を含むブログ (34件) を見る中島敦の「山月記」の後日譚。作家は「ジョーカーゲーム」の柳広司。 中島敦の鬱屈とした感じは…

ムーミン谷の十一月

ムーミン谷の十一月 (講談社文庫)作者: トーベ・ヤンソン,Tove Jansson,鈴木徹郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 1980/10/13メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 27回この商品を含むブログ (41件) を見る ある朝早く、スナフキンは、ムーミン谷のテントの中で…

不思議な小沢一郎

ゲームを動かしたのは結局小沢一郎だったということ。 岡田克也がもし本気で次の代表を狙うつもりであったなら、自分でゲームを動かさなければならない。つまり、小沢一郎が辞任するかしないかの段階で、根回しをしておかなければならなかった。小沢一郎と接…

氾濫するイメージ

二十代にバイクでこけた左ひざが最近だんだん痛んできて歩き方に注意しなければならなくなった。 今日は天気が悪い予報だったし、出かける気もなかったが、昼過ぎにふと気が向いて、八王子の夢美術館に 「氾濫するイメージ 反芸術以後の印刷メディアと美術 1…

思い出トランプ、現代の水墨画2009

思い出トランプ (新潮文庫)作者: 向田邦子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1983/05メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 82回この商品を含むブログ (125件) を見る久世光彦の『向田邦子との二十年』がとてもよかったので。 あとになって損をしていたと思うこと…

よき理想主義者

イチローが「野球オタク」だと自称しているインタビューを見たことがあった。 それにならえば、小沢一郎は「政治オタク」なのかもしれない。彼は、私が考えているよりはるかに強かであるらしい。「電撃辞任」のタイミングは振り返ってみると絶妙だった。 た…

「婚活」時代

工業団地に吹き抜ける風と、字面はなんとなくうらぶれているが、それでも五月の風はここちよい。 「風光る」は春の季語。旧暦ではまだ4月だ。 風を光らせているのは、背丈が伸び始めたチガヤやススキ。子供のころうっかり手を切って痛かった草の葉の名前は…

小沢一郎のリアリズム

以下は、去る3月29日の「サンデープロジェクト」で、鳩山由紀夫が田原総一郎と交わした会話の一部。 ひまにまかして全文書き起こしてあるので、参照されたい方はそちらへどうぞ。 「となると、仮に今後ね、民主党の支持率が落ちていっても、やっぱり小沢…

桂雀三郎の独演会

東京の米朝事務所から葉書が届いて、こんどの七月五日、去年とおなじく千代田区内幸町ホールで桂雀三郎の独演会があると知らせてきた。 チケットの発売はきのうからだったのだけれど、うっかりしていて注文は今日になった。 東京の米朝事務所に電話をしてチ…

K20の世界と斎藤隆夫

もうロードショーが終わりかけていた「K20 怪人二十面相伝」が気になって観にいったのは、たしか、第二次世界大戦を回避できた1949年の日本が映画の舞台だと知ったためだったと思う。私たちはあの戦争を起点として自分たちの社会を考えることが多い。…

評伝 斎藤隆夫 孤高のパトリオット 

評伝 斎藤隆夫―孤高のパトリオット (岩波現代文庫)作者: 松本健一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2007/06/15メディア: 文庫 クリック: 3回この商品を含むブログ (4件) を見るこのGWの最後をこの本に費やしてしまった。 昨日書いたことの一部分はこの本…

プーチンと小沢一郎

今朝、テレビ東京に鈴木宗男が出ていた。 テーマはふたつ。プーチンと小沢一郎である。 鈴木宗男は、二つのテーマともに専門家なので(?)興味深い話が聞けて面白かった。失礼な言い方だが、東京地検特捜部との事件を経て、一皮むけたのかなと思ったのは、…

週刊朝日の記事から

帰省する新幹線のホームで週刊朝日を買った。 「続・検察の劣化 徹底検証『小沢秘書逮捕』とマスコミ報道」 という記事が気になったので。 その記事の中で触れられていたので思い出したが、三井環事件というのがあった。 2002年に検察の裏金を暴露しよう…

妙心寺展

今回の帰省にはもうひとつ目的らしきものがあって、それは京都国立博物館で開かれている 「妙心寺展」 これも実は、東京国立博物館で開催されていたのだが、 「お寺の展覧会?」 というわけでパスしていたのだ。 あとで気がついてみれば、長谷川等伯などの大…

ウィリアム・モリス展、マリンピア

西宮大谷美術館で 「ウィリアム・モリス展」 が開かれているので、両親と出かけてみた。 うちの父親はもと営業マンなので、どこに行くにも車で出かけたがる。亡祖父母の家のある九州にでかけるのはさすがにレールスターを使うようだが、近畿一円はクルマであ…

ムーミン谷の仲間たち

ムーミン谷の仲間たち (講談社文庫)作者: トーベ・ヤンソン,Tove Jansson,山室静出版社/メーカー: 講談社発売日: 1979/05/25メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 10回この商品を含むブログ (51件) を見るながいGWのうちの何日かは実家に帰って過ごす。その…

行つて お前のその憂愁の深さのほどに

大いなる鶴夜のみ空を翔り あるひはわが微睡む家の暗き屋根を 月光のなかに踏みとどろかすなり わが去らしめしひとはさり…… 四月のまつ青き麦は はや後悔の糧にと穫りいれられぬ 魔王死に絶えし森の辺 遥かなる合歓花を咲かす庭に 群るる童子らはうち囃して …

五島美術館

五島美術館に「水墨画の古筆と陶芸」という展覧会を観にいった。 古筆と言いながらも半数は明治以降のもので、それははっきりと見劣りする。 ただ、ここ十日ほど、 「国宝 源氏物語絵巻 鈴虫一・鈴虫二・夕霧・御法」 が特別展示されていたのはうれしかった…

向田邦子との二十年

向田邦子との二十年 (ちくま文庫)作者: 久世光彦出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2009/04/08メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 9回この商品を含むブログ (30件) を見る最近読んだ本の中でこれほど心うたれたものはないし、これほど赤裸々な告白もない。向…

水墨画、ムーミン、マティス、月岡芳年

昼中はからりと晴れ、朝晩はひんやりする気持ちのよい五月の始まり。豚インフルエンザの警戒レベルはフェーズ5だが、こんな日は出かけずにおれない。さっそくきのうのリストからまずは、 「日本の美・発見 水墨画の輝き ―雪舟・等伯から鉄斎まで―」 出光美…