2014-01-01から1年間の記事一覧

油彩のモバイル化としての印象派 ノルマンディー展

新宿東郷青児記念美術館で、「印象派のふるさと ノルマンディー展 近代風景画のはじまり」という展覧会がやってます。 新宿は、小田急の始発駅だし、この美術館は閉館時刻が午後六時と、少しだけ遅くまでやっているおかげもあり、帰りにちょっと立ち寄る、と…

『徘徊タクシー』

徘徊タクシー作者: 坂口恭平出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/07/31メディア: 単行本この商品を含むブログ (11件) を見る 『徘徊タクシー』という小説(著者 坂口恭平)を読んだ。 題名がいいです。「失恋レストラン」(唄 清水健太郎)みたいな感じだけ…

中澤弘光展

横浜そごう美術館でやっている中澤弘光展に、これは初日に出掛けた。 なんか今年のお盆休みに実家に帰って、鑑定団を観ていたら、この人の「潮風」という絵が‘発掘’されてた。 ちょっとタイミングよすぎる感じではあるんだが、それはそれとして、いい絵だな…

ピエール・シャロー、ジョージ・ネルソン、磯崎新

ビエール・シャロー、ジョージ・ネルソン、磯崎新を、汐留ミュージアム、目黒区立美術館、ワタリウム美術館で。 パリのサン・ギョーム通りに今も残る、ピエール・シャローのガラスの家は、古いアパルトマンを改築するに際して、住人が立ち退きを拒否した最上…

日本人が愛した官窯青磁

サントリー美術館で、「ボヘミアン・グラス」、東京国立博物館で、「日本人が愛した官窯青磁」、東京国立近代美術館 工芸館で「青磁のいま」。 ガラスと青磁の違いは、そのまま、西洋と東洋の違いかもしれない。 そもそもガラスへの憧れから作られ始めた中国…

「そこのみにて光輝く」

アミュー厚木で「そこのみにて光輝く」がかかっているので観にいった。 ロードショーでやっていたときも観にいこうかどうか迷ったのだけれど、自分のカンを信じ切れなかったこともあるけど、それより、テーマを考えると、はずしたときにあとにひきずりそうで…

エリート意識としての慰安婦問題

大前研一が日本のマスコミを「大衆迎合の高見の見物」と評した言葉が気に入っていて、わたしはこの国の新聞テレビの類でうるさく報じられることの多くはこれだと考えている。 しかし、朝日新聞がさらに質が悪いのは、「大衆迎合」の部分を「大衆扇動」と変え…

‘朝日文化’とは

今週の週刊SPA!で「もう朝日文化は壊滅してる」と、坪内祐三が発言してる。この人は、週刊朝日が橋下徹についての部落差別記事を書いたときも、意見は、どちらかというと週刊朝日に同情的だったのだけれど。 「朝日文化」というほどのものがあったかどう…

「物語る私たち」、「ローマ環状線 めぐりゆく人生たち」

先月の話になるけど、「物語る私たち」、「ローマ環状線 めぐりゆく人生たち」と「たち」つながりのドキュメンタリー映画を観た。 「ローマ環状線」のほうは、ヴェネチア国際映画祭で、ドキュメンタリーとしては、はじめて金獅子賞を獲得したっていう、ちょ…

朝日新聞の虚偽報道はほんとうに「歴史的事実」を変えていないか

‘「慰安婦は強制動員」 韓国外務省、朝日取り消しでも見解変えず’ という記事があった。 「見解変えず」って言うわりには、「強制連行」が「強制動員」に変わってる。 「動員」と「連行」はどう違うか?。たとえば、EXILEが、112万人を「動員した」とは言…

松本サリン事件から20年

このブログでも何度も書いてきたことだけれど、個人的には、松本サリン事件のときに、新聞を読むのを辞めた。地方紙と日経netは読んでいるので、正確に言えば、全国紙の一般紙を読むのを辞めたということになるが、松本サリン事件は、ウィキによると、1…

『闇の中の男』

闇の中の男作者: ポールオースター,Paul Auster,柴田元幸出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/05/30メディア: 単行本この商品を含むブログ (11件) を見る ポール・オースターの『闇の中の男』。 この本は、週刊文春に載っていた、岩松了の書評がかっこよく…

「集金旅行」

ユーロスペースで「FORMA」を観た後、4階に移動して、シネマヴェーラで「集金旅行」を観ることにした。 ただ、すこし間があったので、Bunkamuraで「進化するだまし絵」を観た。ほとんどだまされなかったけど。 とくに、トロンプルイユなんて…

訂正

昨日書いたのは、時代の空気として、キリスト教文化が唯一無二の文明として通る息苦しい時代と、それが相対化されて、多数の文化が共存する明るい時代が、かわるがわる訪れる気がしていて、今がどちらなのか微妙な感じだが、すくなくとも、ジョン・レノンが…

ゴジラを英語表記するとなぜ「D」が入るか?

山崎浩一が、週刊アスキーに 文明開化や戦後改革を経ても、なぜ日本にはキリスト教がなかなか広まらなかったのか? (略) 私はその理由をひとつだけ挙げろと言われれば、迷わずこう答えたい − 「日本にはゴジラがいるからだ」と。 と書いている。 今回のハ…

慰安婦の虚偽報道について池田信夫の見解

池田信夫が、慰安婦問題について書いた文章に最初に接したとき、衝撃を受けたとともに、その反動で、ちょっと疑念を抱いたのはたしかだった。 その疑念に根拠はなかったが、元慰安婦の方たちにちょっと気の毒なんじゃないかという思いもあったし、何と言って…

慰安婦問題で朝日新聞は何を検証すべきだったのか

朝日新聞の虚偽報道を検証する、上記の題の記事がハフィントンポストにあった。 30年かの年月、虚偽を放置していたことが、どれだけ大きな問題に発展したかについて、改めて考えさせられた。 ‘1992年1月11日になされた「慰安所への軍関与示す資料 防衛庁図…

『オールド・テロリスト』

今月号の文藝春秋で、村上龍の連載小説「オールド・テロリスト」が最終回。 『希望の国のエクソダス』の続編、までいわないかもだけど、登場人物が重なっていて、シリーズとして読んでいいと思うんだけど、まあ、このふたつの小説をへだてるわずかの時間、イ…

「FORMA」

ユーロスペースでしかやってないんですけど、どうしたんでしょ。「GODZILLA」より「FORMA」でしょ。ゴジラのニセもので満足してる場合じゃないでしょ。 坂本あゆみ監督は、ベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞。長編デビュー作がこの賞を受賞…

スズキコージ原始力展

このところのお盆は、まいとし帰阪する。親孝行にはなっていないが、帰らないよりはましだろうということで。 ことしはあべのハルカスに、デュフィ展が来ているのにかこつけて行ってみた。私はもう観ているので、両親に紹介のつもりだったが、あまりぴんと来…

結局、朝日新聞は何をやったのか

結局、虚偽報道を放置し続けることで、朝日新聞が何をやったのかについて、報道機関は検証するつもりさえないみたいだが、この虚偽報道は、慰安婦問題とはまったく別の深刻な事件として取り扱うべきではないだろうか。 今のところ、マスコミの反応は、先日の…

慰安婦問題というメロドラマ

シドニー・ルメット監督が、ドラマとメロドラマの違いについて、ドラマのストーリーが登場人物から派生しなければならないのに対して、メロドラマの場合、「ストーリーの要求に登場人物たちが合わせなければならない」、登場人物は「ストーリーを正当化する…

虚偽報道のその後

慰安婦問題についての虚偽報道を認めた朝日新聞だが、もれ伝わるところによると、それは日本版だけで、英語版では訂正どころか、おくびにも出していないのだそうだ。それはまあ、逆にいえば、重大さを認識している裏返しとは言えるだろう。 先日紹介した、神…

ゴー・ビトゥイーンズ展

森美術館に「ゴー・ビトゥイーンズ展」。 こどもを通して見る世界というサブタイトルがついている、たぶん、夏休み企画。 在日コリアン3世の金仁淑の写真に、この展覧会のテーマである「ゴー・ビトゥイーンズ」をこじつけようとすれば、ビトゥイーン日本・…

補足

きのう、 ≫ 具体的に言えば、慰安婦の報道。提示している事実は虚偽なのに、「全体像は正しい」という論理は、その「慰安婦」が現実ではなく、すでに思想であることをしめしている。少なくとも報道の上では、慰安婦はもはや思想なのだ。貧弱な現実しか提示で…

キネティック・アート、ヤゲオ財団コレクション

土曜日は出勤だった。だけでなく、深夜と呼べる時間帯まで働いている。 まだ書いていない展覧会について。新宿の損保ジャパン東郷青児記念美術館で開かれている、キネティック・アート展。 キネティック・アートだけでなく、錯視を利用した作品が私は好きな…

虚偽報道の本質について

朝日新聞が、慰安婦の強制連行の記事について、虚偽があったことを認めた。今まで公式に認めていなかったとは知らなかったけど、事実上、世界中に流布喧伝された「従軍慰安婦問題」のイメージはこの記事が決定したのであって、他の事例はその傍証として語ら…

フィオナ・タン まなざしの詩学 2回目

土曜日のつづき。 せっかく渋谷にでたので、恵比寿の東京都写真美術館で、こないだ全部見られなかったフィオナ・タンの続きを見ておくことにした。 ところで、わたくし今「見られる」と正しい日本語を使ったわけだが、これが、「見れる」と崩れると「ら抜き…

「イーダ」

シアター・イメージフォーラムで「イーダ」。 単館上映、しかも初日の初回、ややイヤな予感がしないでもなかったが、なにせこの暑さ、日ざかりの炎天下に行列するよりはと、上映開始の30分以上前に着いたのだけれど、「チケットをお求めの方は列の後方にお…

バレエ・リュス展

順序が逆になるけれど、先週、国立新美術館で観たバレエ・リュス展について。 バレエに何の興味もないわたしが、アウェー感満々な展示会に足を踏み入れるのは、「バルビエ×ラブルール展」のとき、鹿島茂が バルビエとラブルールのセット展という発想そのもの…