2022-01-01から1年間の記事一覧

李禹煥のインタビュー

李禹煥の今回の展覧会についての対談がYouTubeに上がっていた。 李禹煥のこの批判性が彼の長所であり短所でもあるように思う。www.youtube.comwww.youtube.com

『ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド』

ジョージ・ハリソン この映画が成立した経緯が面白い。監督のポール・サルツマンという人はカナダのいわば二世タレントみたいな人で、当時からテレビで活躍していた。 そういう彼が失恋をきっかけにインドに出かけてみようと思った。当時の西欧の若者はそん…

『ブレット・トレイン』

マリアビートル (角川文庫)作者:伊坂 幸太郎KADOKAWAAmazon 伊坂幸太郎原作映画といえば中村義洋を思い出す。が、彼だけでなくいろんな監督に映画化されてる、なんか分からんが、映像作家を刺激する小説家みたい。 それが今回はブラッド・ピット主演でハリウ…

『ウクライナから平和を叫ぶ』

2015年にウクライナとロシアの紛争地域を取材したドキュメンタリー。 予告編にもあるのだけれど、親ロ派のおばあさんが、ウクライナ兵がハーケンクロイツをつけてナチス風の敬礼をしていたなどとカメラの前で語る。もちろん、全ての証言の真偽を確かめる術は…

『LOVE LIFE』

深田晃司監督はとにかく『淵に立つ』がmasterpieceに間違いなく、観てない人は是非観てほしい。信頼できる作家だとわかるはずだ。 ニーチェの「反キリスト者」にも見られるようなキリスト教批判を、頭の片隅に置いていないキリスト教徒は狂信家と言っていい…

李禹煥

李禹煥 国立新美術館で李禹煥の展覧会。 私は「もの派」が好きだが、私にとって「もの派」は菅木志雄。国立新美術館でもあったが、横浜美術館の夜間開館で観た作品がすごかった。展示室を飛び出して美術館全体を駆け巡っていた。 菅木志雄 李禹煥はもちろん…

『NOPE』の町山智浩批評とライムスター宇多丸批評

『NOPE』について、宇多丸さんと町山さんの批評が出そろったのでリンク。 私がこれについてあれこれ言うのは烏滸がましいが、これに関しての宇多丸さんの批評は牽強付会の匂いがする。宇多丸さん自身も「ハイブラウ」という言葉を連発しているのはその言い訳…

“統一教会”と性教育 北日本放送 スクープ

「セックス」という言葉に対するこの山谷えり子のヒステリックな態度は一見の価値あり。ちょっとしたホラーで、たぶん役者さんとかは演技の参考になると思う。横にいる安倍晋三元首相の顔も。こんな人たちがlawmakerでいることのおぞましさ。 地方局のウェブ…

『この子は邪悪』

低予算だけれども、奇想天外ではこちらも『NOPE』に負けてない。ネタバレの書きにくさではこちらの方が上かも。というのは、あらすじだけ言うと「んなバカな!」感がこっちの方が強い。ところが、映画で観ると「あるかも」と思わされてしまう。 監督、脚本の…

『NOPE』

ジョーダン・ピール監督の『ゲット・アウト』は、同じSFでも、ダークなものが前面に出ている作品だったと思う。主役が同じダニエル・カルーヤだからそういう比較になるのだけれど、今回の『NOPE』は、ダークで悪いジョークに満ち満ちながらも、作品全体のト…

太田光 統一教会 擁護

太田光が統一教会を擁護している。熱心に統一教会の取材活動してきた鈴木エイト氏に「悪いカルトと認定できてない」と御託を述べたらしいが、50年も前から「悪いカルト」なのに未だに「認定できていない」のが自民党とズブズブの関係だからじゃないのかと…

『私は最悪』

この映画は 私は最悪ここから始まる。大学に入って辞めて、みたいなところから始めないのはさすがだと思った。 パートナーの新刊披露パーティーで所在なげにしているこの女性が主人公なのであって、この女性のクロニクルではない。幾多の名作と同じく、いき…

『荒野に希望の灯をともす』

中村哲医師のドキュメンタリー映画、劇場版『荒野に希望の灯をともす』が、あつぎのえいがかんkikiにて9月2日まで上映中なので、見逃した方は是非ご覧になってください。 「強い」という言葉の意味を突き詰めていくと中村哲医師のような生き方に辿り着くよう…

『日本は「右傾化」したのか』

日本は「右傾化」したのか慶應義塾大学出版会Amazon こないだの小熊英二の日本記者クラブでの分析があまりに鋭かったので、これを買って読んでみた。 日本人一般が右傾化したといえるデータはほとんどないそうだ。ただ、自民党は右傾化したと言って間違いな…

『FLEE』

『FLEE』は、デンマークのアニメ映画でしかもドキュメンタリーである。 この映画がドキュメンタリーをアニメで撮った理由は、主人公であるアフガニスタン難民の男性の顔を晒さないためなので、本人が特定されないシーンなどは実写が混じることもある。こうい…

旧・統一教会と旧・挺対協

道徳の系譜学 (光文社古典新訳文庫)作者:ニーチェ光文社Amazon 『反キリスト者』から『道徳の系譜学』へと遡ってみた。ニーチェはそもそも牧師の家に生まれ、最初に進んだ道は神学であった。 文章中、現代のコンプライアンス感覚からすると、引っかかるとこ…

小熊英二の完璧な分析

ほぼ絶望的なくらい完璧な分析。必見。2年前のインタビューだそうです。www.youtube.com日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学 (講談社現代新書)作者:小熊 英二講談社Amazon

『長崎の郵便配達』

『長崎の郵便配達』は、同じく第二次世界大戦を扱ったドキュメンタリーでも、昨日の『ファイナル・アカウント』とはかなり違う。元英空軍パイロットと長崎の被爆者の交流が軸になっているために、憎しみの感情が入りこんでいない。 もちろん、チャーチルは米…

『ファイナル・アカウント』 ネタバレあり〼

これは2020年のドキュメンタリーであり、つまりもうホロコーストの当事者たち、それは、被害者、加害者ともに、その当事者であった人たちの直の証言を得るのは難しい時代になりつつある。 今回のこの映画でインタビューを受けている人たちは、ヒトラーユーゲ…

政権がカルトに汚染されないためには

この統一教会問題がいつごろ飽きられるのかわからないが、この問題が解決されず有耶無耶な状態で放置されるのであれば、改憲の可能性はかなり低くなったと言えるだろう。というのは、統一教会との関係が「何が問題かわからない」政党に憲法をいじってもらい…

統一教会問題は改憲論のノイズ

辛坊治郎さんのYouTubeでの議論の推移を見ていると面白い。 7月12日、「看過できない朝日新聞「素粒子」安倍元首相を揶揄」ってところ、安倍首相と統一教会とのつながりについて、こんな程度の認識で済ませようと思ってる人は現時点では多分いない。 いちば…

「反キリスト者」 - ルサンチマンについて

ニーチェ全集〈14〉偶像の黄昏 反キリスト者 (ちくま学芸文庫)作者:フリードリッヒ ニーチェ筑摩書房Amazon 先週末はニーチェの「反キリスト者」を読んでいた。短いので読みやすいが、体系的に理論武装されてるわけではないので、断章的に取り上げて、悪意を…

『ツユクサ』

予告編にリンクしたら、この映画の公開は4月29日だ。今さらレビューを書くのも憚られる。コロナ禍以来、遠くの映画館に出かけなくなった。本厚木に映画館ができたのも大きい。このくらい遅れるんだけど、観たい映画はだいたいここまでやってくる。 小林聡美…

弓削田眞理子さんの話

「激レアさんを連れてきた」に、マラソンで60歳を超えて3時間を切る世界でただひとりの女性という弓削田眞理子さんが出ていた。 うっかり忘れてしまいそうになるが、弓削田さんの若い頃は、まだ女子マラソンという競技自体が生まれたばかりだった。弓削田さ…

プリシラ・アーン

プリシラ・アーンは、日韓関係が今みたいでなければ、日本でももっと大スターだったろうになぁ。彼女自身はアメリカ人なんだけど。www.youtube.comwww.youtube.com www.youtube.com www.youtube.com

東京国立美術館の常設展

川端龍子《新樹の曲》https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/k/knockeye/20220711/20220711021548_original.jpg 川端龍子の昭和7年の屏風。昭和モダニズムの名品だと思います。 長谷川三郎《狂詩曲 漁村にて》https://cdn-ak.f.st-hatena.com/imag…

ゲルハルト・リヒター展

ゲルハルト・リヒター《8枚のガラス》 東京国立近代美術館のゲルハルト・リヒター展は、彼自身がキュレーションした。展覧会場の模型を使って、展示する作品、配置、展示の仕方などを指示したそうだ。 作家自身がキュレーションに関わる展覧会はめずらしく、…

投票と暗殺のめぐりあわせ

明日、展覧会を予約したので、今日、期日前投票してきた。そのとき、昨日の安倍晋三の暗殺と、この投票と、どちらが有意な行動だろうかとふと疑問に思った。 正直言ってこれといって投票したい政党も政治家もいない。ただただ民主主義のために投票しているだ…

政治家の暗殺について

金丸信が撃たれた映像は見たことがあるが、至近距離から撃ったのに一発も当たらなかった。あの頃は右翼も平和ボケしてたんだろう。手製じゃなくて既製の拳銃だったが。 政治家の暗殺についてはよほど後にならないと真相がわからなかったりする。今回の犯人も…

『ベルイマン島にて』

イングマール・ベルイマンが暮らしたフォーレ島に、映画作家のカップルがひと夏を過ごしに来た。 ティム・ロスの演じる映画作家の方が、自身の映画の上映とトークショーに招かれた、そのついでに、ベルイマンの過ごした島で、お互い、書きかけの脚本を仕上げ…