『イラク戦争 日本の運命 小泉の運命』

knockeye2004-09-11

イラク戦争・日本の運命・小泉の運命

立花隆 『イラク戦争 日本の運命 小泉の運命』をざっと読んだ。「ざっと」というのは、この本、いろんな雑誌の原稿や講演のアンソロジーだった。思い返してみると、何か題名からして、焦点が絞れていない。高岡美術館が『日本近代洋画の、人,静物、風景』という展覧会をやったことがあったが、いわばあれだ。

面白くないわけではないが、『ゴー外!!』と『戦争と平和 それでもイラクを嫌いになれない』を読んだ後だと、だいたい外的事実は重複している。面白いのは、『ゴー外!!』の方は、この本を参考にした匂いがあるし、そして、立花隆のこの本には、『戦争と平和 それでもイラクを嫌いになれない』から、まるまる引用している部分がある。

考えてみれば、マスコミがどう言おうと、イラクの現実を日本に伝えたのは、あの事件だった。他の誰もイラクの事実を知らせはしなかった。
一応、人質解放についてかかれているところを引用しておく。

  基本的には、高遠さんは、高遠さん自身が救ったのである。高遠さんがこれまでイラクイラク人のためにしてきたこと(略)の数々がイラク人に伝えられた時、この人を殺してはならない、の声がイラク人の間で(おそらく犯行グループの中でも)自然に持ち上がったのである。高遠さんがそのような人であることをイラク人に伝えたのも、政府ではない。(略)おそらくいちばん影響力が大きかったのは、ピースボート(国際平和運動NGO)の吉岡達也共同代表が、すぐにあらゆる資料(略)をもってカタールに飛び、アルジャジーラに連続三回ニュース出演して・・・(略)アルジャジーラの影響力は中東では圧倒的だから、(略)このニュース生出演を通じてのメッセージは犯行グループにも確実に伝わったはずである。 (略) いずれにしてもはっきりしているのは、政府は何も知らなかったという事実である。

私としては、何が起こったのかはほぼ理解できた。問題は、こういう事実を知らなかったにせよ、なぜバッシングが、政府、官僚、マスコミ、そして多数の人で行われれたかだが、このことは、もう少し考えてみる必要があるのだろう。


この本に高遠菜穂子さんの本からの引用があると書いたが、「高遠さんのHPから」という書き方をされている。考えてみると、高遠さんの本は、HPの内容をまとめたものだ。私は、あの本を重要だと思うが、それは、アマチュアが、インターネットで発信したものが、ここまでインパクトを与えるものになったという点でも、重要だと思う。