高岡市立美術館

knockeye2004-10-30

北陸ウエザーがやってきた。すこしずつ。天気予報が雨で、朝目が覚めると今にも降りそうな空。ところが実際に降り始めるのは、ようやく午後四時頃になってから。今日はそうだったが、そのまま三日も降らず晴れてしまうこともある。低い雲に押しつぶされそうな気がする。

いつ降り出すかは分からないものの、どうせいつか降り出すことを織り込んで、完全防水の身なりでちょっと出かけた。高岡市立美術館、「フランス近代絵画の巨匠たち」という、焦点の定まらない展覧会。ちいさく「松岡美術館所蔵」とある。実態は、「松岡美術館展」ということなんだろう。「これが目玉!」という作品がないので、苦心したのだろう。

空の怪しい週末の午後、思ったより人が多かった。「モネ、ルノワールからピカソまで」というサブタイトルが付いているので、名の知れた画家がずらりと並んでいる。モネは、でも、これぞモネ、という絵ではないし、ルノワールも、一応おいてあります、みたいな。エコール・ド・パリからは、マリー・ローランサンとかレナール・フジタなどもあった。いちばん気に入ったのは、何点かまとまってあったヴラマンク。これは、迫力があった。それに、初めて知ったけれどルイ・ヴァルタという人。


それから、今回ためになったのは、各作品に付いている解説。松岡美術館学芸員さんが書いたのか、わかりやすくて面白かった。知っている人には今更なのかも知れないが、ユトリロのお母さんが画家だったとは知らなかったし、ユトリロが私生児だとも知らなかった。またそのお母さんが心を病んでいて、そのためにユトリロは稼がなければならなかったということも。彼がアル中だったのは知っていたけど。

またまた、ポール・デルボーが一点あった。このところよくあう。デルボーは、ミュージアムショップに絵はがきもあったので買ってきた。絵はがきは、そのデルボーと、ルノワールの裸婦、展覧会で実物も見たピカソの「ドラ・マールの肖像」、それから、モディリアーニの「ネクタイをした女」モディリアーニの女性は、ホントに色っぽい。

今年は国吉康雄展にもいったわけだけれど、17歳でアメリカに渡り、あちらで画家として成功を収めた国吉康雄と、エコール・ド・パリの画家レナール・フジタは、どちらが国際人だったんだろうと、またまた考えてしまった。第二次大戦中、国吉は、「日本のみなさん、あなた達は間違ってます」みたいな呼びかけをした人だった。今考えてみると、それは国際人というよりアメリカ人の感覚に過ぎなかったかも知れない。レナール・フジタは、戦意高揚のための絵を何作か描いている。戦後批判されたが、「国民が自分の国の戦争に協力して何が悪い?」と、腹を立てて、日本人をやめてフランス人になってしまった。戦争が終わると同時に掌を返した連中に愛想が尽きたのではないかと思う。