古武術の発見

古武術の発見―日本人にとって「身体」とは何か (知恵の森文庫)
古武術の発見』という本を読んだ、という話。伊東ゆかりの発見とはだいぶ違う。去年、NHKの人間講座で「古武術」の話をしていた甲野善紀という人と、今をときめくといってもよいか、養老孟司さんの対談である。
去年のNHKの人間講座が衝撃的だったので、もっと期待したが、あの動きを文章で表現するのは、そもそもかなり無理があったようだ。それでも、桑田真澄投手の復活の話とか、井桁の発見など、興味深かった。
副題の「日本人にとって『身体』とは何か」という部分、もう少し突っ込んで聞きたかった。この対談は、かなり時間をかけてものしたようで、途中で新しい発見などがあったりするのが面白い。最初は、精神論を言っているかのように思えていた某武術書が、後半に、実は「具体的な技のことをいっている」と気づいたりしている。
いいかえれば、それだけ言葉にするのが難しいということだ。
私が、古武術に引っかかっているのはなぜかというと、「捻らない、うねらない、タメない」というこの人の理論が、どうも、バイクのライディングに似ている気がするからだ。バイクって、ハンドルで無理にまがろうとすると、絶対失敗するんだよねぇ。私は、いつまでたっても下手なので、あの才能は天性のものだとあきらめてはいるのだけれども、なんとかちゃんと乗れてるくらいのレベルには、自分を引き上げたいと思ってはいるので、「地面を蹴るのではなく、重心を崩す」みたいな話をされると、耳をそば立ててしまう。