金岡邸

knockeye2004-12-25

一週間、長雨が続いた後では、喜ばしいものは日差しである。雲が晴れてみると、初雪が山塊に与える効果は瞭然としている。つい先頃までは遠目に、光の加減で紅葉とも枯れ木ともとれる色をとどめていた山裾。それが平面ではなくて、木々の集まりであることを、粉砂糖のように降りかかった淡雪が思い知らせてくれている。
晴れただけでなく、今日はとても温かい。今日みたいのを小春日和というのだ。先々週みたいのは小春日和とは言わない。ひとりで勝手に訂正しつつ、もう年の瀬もここまで押し詰まってしまうと、意地汚く遠出しようという気にもならない。世間はクリスマス、この日はツーリングするライダーのためには道を空けてくれそうにない。だが、一週間、バイクのエンジンに火を入れていなかったので、久しぶりに海沿いの道を走ってみることにした。バイパスが出来てからは通らなくなっていた。右側には海、今日のように晴れていれば、左側には立山連峰がくっきりと見える。よそ見運転を誘う危ない道だ。
結局、常願寺川の河口でバイクを停めてしまった。河口に押し寄せる波頭がきらきらしていてあまりに気持ちよかったので。波の造るチューブの内側が日差しを受けて光っている。その光が、波が崩れて行くにつれて、転がる輪の端のように海岸を行ったり来たりしていた。
あんまり欲張らずに、帰ることにしたが、ここまで来たついでに、「金岡邸」に立ちよることにした。それでちょうど夕方になりそうだし。古い家も冬の長い日が差し込んで心地よかった。本格的な冬が来る前のちょっとした恩寵のようなものか。クリスマスとは関係ないと思うけど。