バシシさんの再出発に

バシシさんはジェベル200による世界一周を中断して南米に旅立つ。中断と言うけれど、去年の6月18日に伏木を出航してついには南アフリカまで。これを走行距離10万キロを超えたジェベル200で走破した。今、膝の具合が悪いそうだが、当然だと思う。私は、ウラジオストークからサンクトペテルブルグまで走っただけだが、帰国してしばらくはコルセットを巻いて仕事をしていた。
サンクトペテルブルグが間近になった時、「もうこれでいいな」と話しかけたのを覚えている。ジェベル200に。話しかける相手はバイクしかいない。「もううんざりだ!」とか、「このボロバイク!」とか、そんな感情ではない。もっとさばさばした明るい気持ちだった。私の旅は最初からロシア限定の予定だったし、もっと周到に準備していれば、文字通りの「ロシアツーリング」になるはずだった。ツーリングのはずが、ちょっとした冒険になってしまったのだ。
その意味では、後の人たちの参考にならない部分も多かろう。ただ、もう数年もすれば、休みにバイクに乗ってロシアからヨーロッパへ、気楽にツーリングできる時代が来ると信じている。おじんになった時、もう一度ロシアへ出かけられれば、私の人生としてはなかなかよろしいだろうと思っている。