『イーストサイド・ワルツ』小林信彦を読んだ。
イーストサイドは、隅田川のイーストサイド。人は知らないうちに土地に根付いていると書いたばかりだけど、図らずもそんな男女の恋愛小説。氏として珍しく直球である。
物語を魅力的にしているディテールは、生活に根ざした土地勘の確さだと思う。生活感がリアルなので、直球の恋愛がくさくならない。この本を片手に、深川を歩いてみたくなる。作者の思うつぼなんだろうか。
このところはまっている吉行淳之介に比べると、小林信彦が描く女は母性が強い。むしろ母性の物語といいたい。