『博士の愛した数式』

今日は、隅田川の花火大会(昔は「川開き」といったと思うが)、地元のテレビが中継していた。絵的には、浴衣を着た高橋英樹の様子など、大阪の「船渡御」そっくり。この界隈でも盆踊りかなにかあったらしい。公園の方から、それらしいスピーカーの音が流れてきていた。窓の下から話し声が聞こえてくる。
こちらに来て気が付いたのは、関東の言葉も方言だということ。関西の人間にとって、関東は全部ひっくるめて「トーキョー」。したがって関東の言葉はすべて「ヒョージュンゴ」である。
だけど、人工の放送用語である標準語は、関東においても、現実には存在していないと、一ヶ月も暮らすと分かってしまう。転校生として過ごしたこども時代、今になってつらいのは、自分の方言をもてなかったこと。こども時代、一番長く接した言葉はテレビの言葉で、それは他ならぬ「標準語」だった。標準語に言葉の母胎を乗っ取られたのは、返す返すも残念だ。
小川洋子の『博士の愛した数式』を読んだ。
博士の愛した数式
名作。