『チェ・ゲバラ モーターサイクル南米旅行日記』

knockeye2005-07-31

七月も終わり。何が記録的といって、一枚の写真もアップしなかったことだろう。この部分だけは、旧に復していない。土地勘がなくなると、カメラを持ってうろうろもしにくくなる。
たとえば、今日などよく晴れていたから、夕方に海の方にでも走ってみようかとか、ぼんやり考えていてふと気が付いた。ここでは海に日が沈まない。魚津を去ることは、カモメたちとも別れることだった。
やっと夏らしい日が来た。久しぶりの太平洋側の夏。窓を開けて風を入れながら無為に過ごした。この日差しの中、どこかに出かけようと思うほど若くない。コットに寝ころんでうとうとしているほどよいことはない。それに、昨日、『博士の愛した数式』を読んで夜更かししてしまったし。
まともに脳が動き始めたのは、お午過ぎ。本格炒め炒飯をフライパンで炒めて食べたあたりからだ。手をつけていない本の段ボールを開封し、押入に並べることにした。今のところ、こうするしかないだろう。本棚とか買うのも不経済だし。で、まあ、こういう時によくある話だけれど、笑ってしまったのは、本屋のカバーが掛かったままの本があった。金沢の駸々堂である。はがしてみてびっくり。『チェ・ゲバラ モーターサイクル南米旅行日記』だった。
チェ・ゲバラ モーターサイクル南米旅行日記
ハードカバーで持っていたものをわざわざ文庫で買って読んだわけだ。
井伏鱒二が青柳瑞穂のことを書いたエッセーも読んでみた。やはり、味付けがしてある。仕事がしてある文章なのだ。井伏鱒二のファンはこれを味わいたくて読むわけだろう。もちろん、これは青柳瑞穂が亡くなった時の追悼だし、短いエッセーだし、青柳いづみこの徹底的に掘り下げた評伝とは意味が違う。深く掘り下げていくと別のものが出てくることをつい忘れてしまう。
ところで、やはり青柳瑞穂の本も読んだかも知れない。というのは、私は例の尾形光琳の絵が大和文華館にあることを知っていた。井伏さんの本にこれが書いていないとなると、他で読んだことになる。
しかし、本はだいぶ傷んでいた。中身は大丈夫そうだけど、カバーは虫に食われているものもかなりあった。小林信彦氏の『世界でいちばん熱い島』なんて、背表紙が判読できなかった。特別に虫が好きなインクだったんだろうか?
写真集では、武田久美子が一番多い。何しろ、武田久美子という人は15くらいの時から、毎年一冊以上のペースで写真集を出し続けた偉大な写真集女王なのだ。でも、体の線だけでいえば、いちばんきれいなのは22〜24ですな。