今年の流行語大賞とやらに「小泉劇場」がノミネートされていた。あんまりセンスがいい言葉と思わないのだけれど、それにまつわることでひとつ。
週刊文春の書評欄「私の読書日記」、今週は立花隆の受け持ちで、加藤紘一の新著に触れ、

YKKの内側を語る章を読むと、小泉という政治家が、およそ政策を論ずるなどということとは無縁の政治家だということがよくわかる。
「あまり政治家は勉強や、議論をしてはいけない」が口癖で、「人の話を一生懸命聞いたりすると、結論を迷う。そうするとメッセージが非常に曖昧になる。それよりも自分が一番初めに感じた直感で行動を進めていくのが正しいんだ」が、小泉のモットーだった。YKKが会っても、難しい政策的な議論はほとんど加藤・山崎のYK間で行われ、小泉はコップ酒を飲みながら「時たまワンフレーズ的にズバッと意見を言う」だけだったと言う。
そういう中身がない政治家に国民的人気が集まり・・・

とあるが、これはとらえ方次第で評価は180度変わることではないか?当の加藤紘一氏はいわゆる「加藤の乱」を起こしたものの結局腰砕けで終わっている。小泉純一郎が正しかったと言えないか?
平沼赳夫氏が土曜朝の立川談志のテレビに出演していた。平沼氏は郵政民営化法案に最後まで反対を貫いた、なかなか負けっぷりのよかった政治家である。
この番組での会話も上の記事と符合しているのが面白かった。郵政民営法案について党のなんとか委員会で長々と議論しているが結論が出ない。ある日突然修正案という分厚い書類が出され、「後は一任してもらいたい」と言うことで党議拘束がかかってしまった。平沼氏は「いやちょっと待ってくれよ」と思ったそうだが、それを聞いていて「こっちこそ待ってくれよ」と思った。いつまで議論しているつもりだったのか?小泉純一郎氏が自民党総裁になった時に郵政民営化は事実上決定事項だと思っていた。それをあんな間際になるまでまだ議論していたのか?それでは何も決定できないはずである。結論を下せないなら政治家を辞めて評論家になればいい。
意を迎えるつもりか談志は「国民の代表が決定したことをあんな風にひっくり返して」といったが、その国民の代表が民意をまったく反映していなかったのは選挙結果を見れば明らかだ
ぶっちゃけていうけど国会議員が国民の代表かい?そんなお笑いぐさをいうようでは立川談志も焼きが回ったものである。

平沼赳夫氏もせっかく負けっぷりがいいのだから「長年築き上げてきた自民党の伝統」みたいなことを口にしてほしくないものである。その伝統が失われて「残念だなぁ」と思っている国民がいるかどうか探してみたらいい。