いいバイク屋はないかなぁ

引越しのストレスは、けっこうディテールに及ぶ。
たとえば、散髪屋。私は自分で髪を切るので関係ないが、そうでない人は行きつけの散髪屋を見つけるまで、しばらくビミョーに気に入らない髪型で過ごすことになるだろう。
それから、歯医者。知らない歯医者というのも不安なものだ。かといって虫歯に自然治癒は期待できないし。
こんなことを言い出すのは、バイク屋なのである。ちゃんと整備してくれるバイク屋を見つけなくてはいけない。今日も、2りん館というところにスプロケットとチェーンを交換してもらいに行ったが、どうにもあたふたした対応で、ああいうところはやっぱりウエアとかちょっとした部品とかを買うだけにしておいたほうがよさそうだ。
こういうことに理想をもとめすぎてはいけない。そうでないと、ちょっと泥はねがかかっただけで、一日不愉快。みたいな精神構造になってしまう。とはいえ、なじんだ環境が変わった当初は、なんとなく居心地が悪い。
バイク屋の話をすると、実家に住んでいるころはエポムだった。元全日本モトクロスチャンピオンの杉尾良文さんの店で、一時期は高浜竜一郎をサポートしていた。あそこは文句なしによいバイク屋さんだった。
富山では、黒部のレッドシティーに頼むようになって、安心して任せられるようになったが、それまでは大変だった。最初のジェベル200は、WESTWOODの通販だ。
「いま、『モトエ』酒造という酒屋の前にいるんですけど」と電話がかかってきたのを憶えている。「本江」を「ほんごう」と訓めないのはむりもない。表に出ると不釣合いなほどでかいトレーラーにフォレストグリーンのジェベルが積んであった。バイクを通販で買うのもなかなかオツなものだ。1000キロ点検にも茨城県竜ヶ崎のWESTWOODまで出向いた。ちょうどいい慣らし運転だと思ったわけ。もう一歩でたどり着けず、ビジネスホテルで一泊したけれど。
東北縦断にはそいつで出かけた。あのころはあまり写真を撮らなかったので、写真はほとんど残っていない。人生最大の事故をやらかしたのも、そのバイクだった。車の横っ腹に突っ込んで、恥骨を骨折。そのまま入院となった。救急病院の担当医が、なぜか小またの切れ上がった女医さんで、きんたまをエコー検査されたのにはまいった。
保険金でシルバーグレーに乗り換えたのだけれど、そのときは病院の電話帳で、SBSと書いてあるのが一軒だけだったので、そこにしたのだけれど、気がつくとSBSでなくなっていて、次に気がつくと店がつぶれていた。