近隣公園の桜

knockeye2006-03-30

高橋さんが「これからこのあたりは風の季節だ」といっていたが、今日などはそんな季節の一日なんだろうか?それとも、今日は特別な寒さなんだろうか?近隣公園の桜はほぼ満開というのに、時雨としか言いようのない風が吹いていた。
沈む太陽が雲の切れ間から顔を出し、舞い上がる砂塵を浮き立たせる。今日は仕事に使おうとデジカメを持っていたので、砂塵の舞う瞬間を待っていたが、時雨が砂を鎮めてしまった。頭上を軍用機が飛んでいった。以前、吉村さんに「飛行機の写真が撮れたら」といったのを思い出し、カメラを向けたが一瞬遅かった。もう爆音にも慣れてしまった。
風が強いので咲き始めの桜も散る。花びらではなく花ごと飛ばされて地面に落ちている。桜のこんな散り方は見たことがない。まるで椿みたいだ。
SAIKAマートの跡地に最近オープンしたマルイチ生鮮館で苺が安かったので買ってきて食べた。
ところで、この間紹介した西牟田さんの本だが拙い文では伝わりきらない部分もあるので、思い出してはだらだら書くけれど、中国人の若い女の子と話すところを読めばあの本の良さが伝わると思う。西牟田さんもその女の子も実は過去を共有していない。にもかかわらず中国人と日本人は、その過去を話してしまう。そのちぐはぐさが、直前の万人坑のくだりとよいコントラストになっている。
植村直己の『極北に生きる』以来といったけれど、個人的にいって(というのは、別にわたくし紀行文学の専門家ではないので)大げさでないつもりだ。自分の足で大日本帝国を歩いてみた旅人は西牟田さん以前にはいなかった。その意味でやっぱり重要なフィールドワークだと思う。ほとんどの我々が過去を共有していない今だから重要なのだ。