- 作者: 武満徹,鶴見俊輔
- 出版社/メーカー: 日本図書センター
- 発売日: 2000/03
- メディア: 単行本
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・・・しかし、近代において、人間は集団的意識から、あるいは共同体意識から自由な、自我を獲得した。(それをこそ近代と呼ぶわけであるが)集団からのこの離脱は、自己客体化ということであり、客体化された自己は、究極において「他者」に連なるものである。それによって、人間には新たな連帯の可能性が開かれるはずであった。
だが人間は隔絶化し、孤立を深めるばかりである。・・・
私にはまだ孤独が不足している。
ぼくたちの内部を鳥たちは飛び交う。
ぼくが伸びようと意志して外部を見る。
すると、ぼくの内部には一本の樹が生えている。
リルケの詩だそうだ。