- 作者: トーベ・ヤンソン,冨原眞弓
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1999/07/01
- メディア: 単行本
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トーベ・ヤンソンの『島暮らしの記録』を読んだ。ムーミンの原作者がトーベ・ヤンソンというフィンランド人なのは大人になってから知り、さらにトーベ・ヤンソンが女性であることはつい最近知ったばかりだ。フィンランドについて何か知っているかといわれれば、ムーミンのほかにはNOKIAだろう。ユーラシア大陸の向こう岸にあるこの国は偉大な小国として独自の地位を勝ち得ている。彼らは日本同様ロシアとのあいだに領土問題を抱えていたが、はるか昔に軽々と解決してしまったと記憶している。たしか放棄しちゃったのではないだろうか?うろ覚えだけど。
「島暮らし」といっても完全に隠遁してしまうわけではなく、夏のあいだをすごすだけなのだ。フィンランドに島が多そうなのは推測できる。かの国には島にもいろんな段階があるようだ。ホルメ、シェール、ハル、コッペ、クラック。トーベたちが小屋を作ったのは「クルーヴハル」という、写真で見る限り、島と岩のあいだくらいのものである。
暮らしを愛するには訓練が必要だ。言葉や習慣、子供のころから何年も積み重ねられる訓練が暮らしを愛するうつわになるのだろう。私にはそういうものがない。私は自分が本物だと感じたことがない。
トーベ・ヤンソンは子供のころから夏になると島に渡り長期休暇を楽しむ暮らしを続けてきた。収入が安定しない彫刻家の父と挿絵画家の母という一家は特に豊かではなかったそうだ。傍目に見れば、島暮らしは無理をしているように見える。でも、暮らしを愛するためにはそういう無理はすべきなのだ。
習慣が人を救ってくれることは確かにあると思う。