意味がなければスイングはない

knockeye2006-05-21

意味がなければスイングはない

意味がなければスイングはない

自分の孤独をもう少し削ぎおとさなければならない。孤独は肥らせてはならない。三島由紀夫のぱくりだけど。
村上春樹が音楽についてまとめて書いたのは初めてだそうだ。そうだったかなぁと考えてみたけど、そうだったようだ。エッセーの中でときどき触れてはいるけれど。
29歳のときヤクルトのヒルトンが二塁打を打つまで、ジャズ喫茶のオーナーをしていた人だから、音楽について語るのを聞いていると、思い出話を聞いているような気になる。実際には個人的思い出話はほとんどないのだけれど、十分に主観的だし、結局、読者としても村上春樹の主観を聞きたいのだと思う。音楽の客観的批評なんて少なくとも私は面白くもなんともない。
ブルース・スプリングスティーンレイモンド・カーヴァーについての部分が個人的にはなるほどだった。ウディー・ガスリーの章とあわせて読むと、アメリカの特殊性ではなくて普遍性が見えてくる。ウディ・ガスリーの生涯は確かに悲劇的だが、突き抜けた明るさがある。口の悪いひとなら滑稽だと言い捨てるはずだ。彼の場合、父母との別れは個人的事情だが、父性や母性の喪失は今となっては同時代的な社会性を持っているとおもう。
ルービンシュタインゼルキンの対比も面白かった。わたくし音楽に関してまったく鼻が利かないのだけれど、音楽家という一風変わった人たちの、人間の部分が垣間見られて楽しい。青柳いづみこの『ピアニストが見たピアニスト』もそうでした。
晴れたけど、結局本ばっかり読んでますね。いまのところ、そのほうが自然なので逆らわないことにした。しかし、体力低下が問題。