ビュッフェ、ブラジリエ

暑さは平気なのだけれど、日本の夏のhumidityが耐えられない(humidity really gets me ! )という英語を昔習った。若いころ覚えたものはなかなか忘れない。夜勤明けには珍しく、早く起きられたのだけれど、寝室を出たとたん、ムアッとした空気に押し戻されてしまった。
そんなわけで、夕立に降られてしまったのは自業自得である。いつもの、雨を降らせる灰色のジーパンだった。しかし、こう暑いと雨の中を走るのは気持ちがいい。ついつい雨具を着るタイミングを逸してしまう。雨具を着た後は、雨なのに日が差して、蒸し暑くてたまらなかった。
八王子の村内美術館というところに、ビュッフェ、ブラジリエ展を見に行った。お目当てはビュッフェである。以前に見て一目で参ってしまったニューヨークシリーズがあると言ううわさだった。
村内美術館は村内ファーニチャーという家具屋さんが併設している。家具と絵画が関係が深いかどうか、分かるような分からないようなだが、コレクションのほとんどがバルビゾン派で、コローの渋い風景画なんかを高そうな家具と一緒に見ると、なるほどそうかなぁと納得してしまう。
ニューヨークのシリーズは一点あるにはあったが、なんとかいう教会を描いたもので、摩天楼ではなかった。今回よかったのは、アイリスの絵とカンヌのビーチを描いたもの。黒がみずみずしい。
アイリスは日本語で言えばたぶん「かきつばた」で、光琳の束縛を逃れられない日本人の目でビュッフェのアイリスを見ると、この画家のオリジナリティがわかる。私たちはたいてい、画家の目を通してしか、ものを見ていない。
ほぼ日刊イトイ新聞からTARO MONEYが届いた。一口分44Taroである。岡本太郎が1968〜69年にメキシコで描いた巨大壁画『明日の神話』修復のための寄付なんだけれど、糸井重里氏がこういう遊びを考えた。ちょっとルーブルコインを思い出す。これは個人的なことだろう。そういえばルーブルのマークを作ろうという動きがあるそうだ。「\」とか「$」みたいなマークだが、ルーブルの頭文字はPなのでちょっとデザインに困っているみたいだった。どこに線を引っ張っても、どうにもしまりがないのだ。