月刊のほうの文芸春秋を買った。九月特別号である。今号はお買い得ではなかろうか。
目次からキャッチーな部分を拾うと、
小泉純一郎の呪縛を解けるか」という塩川正十郎(塩ジィ)と平沼赳夫郵政選挙自民党を除名されたひと)と東大教授の鼎談。
「彼(小泉首相)は経済外交がわかっとらん」と塩川氏。なるほどなぁ。今度の靖国参拝でもそのへんと絡めて調整できなかったものかしらむ。また、自民党中選挙区時代の議員と、小選挙区時代の議員の二つに割れているというのも鋭い指摘だと思った。
「これがオシム流監督術だ」という、オシムと川淵チェアマンの対談。未読。
昭和天皇靖国メモ』未公開部分の核心」という鼎談。現物を見た人たちによるもの。これは面白かった。発表されていないページの裏側まで、画像ソフトで解析して公開されているというからネット時代はおそろしい。いっぽうでは、加藤紘一氏の実家が焼き討ちにあったらしいが、江戸時代の農民みたいな精神で今を生きている人もいる。
そして「八月の路上に捨てる」という芥川賞受賞作品の全文。これちょっと期待したが、選評を先に読んでしまったらあんまりよい評価でもないのでちょっとモチベーションが下がってしまった。
巻頭グラビアは小林信彦さん。『うらなり』は好評らしい。テレビのブックレビューでもとりあげられていた。

彼はまた、こうも言った。
<まえに(数年前)、ギャグの話をした時、あなたは目を輝かして語ったの。いまは、もう、そうじゃない。熱っぽくないのね。>
これも鋭い。
喜劇人や彼らの演じるギャグを鑑賞するのは特殊な行為である。それは、創造とは正反対のものだ。そして、ぼくが「うらなり」その他を書いたのは、もう一人の自分を切りすてたからである。

週刊文春のエッセーの一節。文中の「彼」は萩本欽一さんのこと。さて、小林信彦ファンとしては、これをどうとればよいだろうか?