耳をすまして聞いてごらん

knockeye2006-11-13

ずっと前に買っておいた本。
小貫大輔さんが、ブラジルでシュタイナー教育に出会った若き日々。シュタイナー教育はドイツで発生したものだが、なぜブラジルなのかは読んでもらえれば分かる。ウテ・クレーマーというドイツ女性がすばらしい。よき理想主義者であるためには現実を手放してはいけない。彼女が保育園での宗教の扱いについて語っているところが印象的。
「だって、子供にとっては、キリストが死のうが生きようがそんなことは関係ないのよ。そんなことよりも大切なことは、この宇宙には人間には計り知ることができない偉大な力が存在する、ということを見せてあげることなのね。・・・」
具体的にどういうことかは、読んでもらえれば分かる。
「イマジン」ではないけれど、たしかにこの世に宗教がなければ、人の心に奇跡は簡単に起きるのかもしれない。しかしながら、何らかの宗教を持っていない人間なんて見たことがない。たとえば、レイモンド・カーヴァーの人物たちは、アメリカンドリームに傷ついている。アメリカンドリームに敗れているのとはちょっと違う。彼らはアメリカンドリームの巨大な幸せを胸中に描いて、自分たちの小さな幸せを見ることができない。
ひとつの神を追い出しても、すぐまた別の神が心に巣食うのだから、理性で正しい宗教を選別するにしくはないとわたしは思うが、口で言うほど簡単じゃない。信じていちばん害のないのはお金だろう。金の亡者って言うのは、罪がないかどうか知らないが毒はない。
神足裕司が「カリスマというバカがいるから事件がおきる」と書いていた。昨今の未履修問題にふれてである。「教育は現場の教師に任せればよい」と結んでいるが、わたしに言わせれば教育は現場の生徒にまかせるべきだ。
そういえば、「カリスマというバカ」が起こした事件のひとつの顛末。小久保がホークスに帰る。小久保の巨人移籍にかんして「カリスマ」がどんな「バカ」をやらかしたか、憶測の域をでないものの大きく外れてもいないだろう。