長い散歩

knockeye2006-12-24

長い散歩』を渋谷に観にいった。安アパートの壁から聞こえる、虐待される幼女の声が、次第に過去と重なって、主人公をさいなむ。その過程がていねいに描かれ、事件は避けられない必然になる。そのあたり、緒形拳の説得力はさすが。また、老人と幼女の奇妙な道連れが、日本社会に適合できない、帰国子女の青年であるのも興味深い。彼は全く無意識に、老人(今の社会をつくった)と、幼女(その社会の犠牲者)を結びつけ、同時に旅(長い散歩)の意味を決定付けてしまう。
説教くさくならないのは、一貫して主人公の過去の清算がテーマだからであろう。人は誰でも自分の孤独に耐えなければならない。孤独だけはどんな他人とも分かち合えない。UAの「傘がない」は最高。
映画館の選択肢としては、ほかに川崎と新宿があった。川崎は一番近いわけだけれど、いずれにせよ横浜乗換えなので、そんなに近場感がない。兵庫県でたとえると、尼崎みたいなもので、それなら梅田に出ようよ」という感じになる。新宿は武蔵野館という、一度行ったことのある映画館で、東口の目の前で分かりやすいし、海老名から小田急一本なので乗り過ごしの心配なく安眠できる。ただ、悲しいことにモーニングショーしか上映していない。最終的に渋谷にした理由というのは、ついでにエッシャーを見てこようという腹積もりだったからである。
しかし、渋谷のクリスマスイブを、私はあまりにもなめていたようだ。行列である。長蛇の列。門前市をなす賑わいである。たしかに並んでも見る価値があると思うが、並んだあげくに見られなかったら最悪なので、今回は退散して、横浜みなとみらいで時間をつぶした。今回、久しぶりにかばんにFZ−5を入れていった。カシオは使いやすいが、手ぶれ補正はないし、画面の粒子が粗い。その点、やっぱりFUJIのF700はよいカメラだと思う。実は、仕事で使っていて調子が悪くなってしまったので、薄型のコンパクトカメラを新調しようと、ネットを漁っていたら、なんとF700がまだ新品で売っている店があり、感激のあまりつい注文してしまった。エビちゃんの宣伝している「顔キレイナビ」を買うべきなのかもしれないが、スーパーハニカムCCD'SR’は、もっとでかいハイエンド機には搭載しているが、薄型ではF700とF710だけしか搭載していない。私はあれが気に入っているのだ。