耳の正月

knockeye2007-01-02

ふと思いついて、一心寺シアターに落語を聞きに出かけた。あいにくの天気にもかかわらず、予約だけで満席。当日券はなかったのだけれど、開演ぎりぎりまで粘って、なんとか空席にすべりこませてもらった。おかげで桂阿か枝の「狸さい」、頭のほうは聞き逃してしまった。
この盛況はおそらく、大とりをつとめた三代目桂春団治の看板がモノをいったのだろう。お歳も今年で喜寿だそうだが、ナンノナンノ、風格が違う。「親子茶屋」を見事に聴かせた。聴衆を完全に手中にしている感じ。実は、春団治師匠の演じる直前、中入り後に、関西各テレビ局のアナウンサーが、日替わりで落語を演じるという企画が入っていた。この日は読売テレビの女子アナふたり。たしかにしゃべるお仕事ではあるけれど、落語はずぶの素人なのだし、笑いのとれるキャラでもないし、かなり場が荒れた感じがあったのだけれど、そんなことではびくともしなかった。さすが。
思い起こせば一昨年の元日、一心寺で桂雀三郎を聴き、つづけて翌日のサンケイホールで米朝一門会を聴いたのだった。昨年は吉朝の訃報もあり、がっくりきてしまったが、関西でないと、上方落語は聴けない。やっぱり噺も生で聴くにかぎる。耳の正月をさせてもらった。今や伝説となっている三代目の「羽織の脱ぎっぷり」も見られた。聞きかじったところによると、肩からスルリと落ちるように羽織の袖を長く仕立ててあるそうだ。
他に、笑福亭銀瓶「手水廻し」、桂小春団治のネタは新作であった。
おととしは、地下鉄御堂筋線天王寺から歩いたのだけれど、今年は雨なので、なるべく至近の駅からと、動物園前で堺筋線に乗り換え、恵美須町で降りた。一心寺の北門から入るとちょっと近い。その上運賃は40円安い。わたくし北摂の人間なので、あの辺あまり詳しくなかったのだけれど、恵美須町の駅をおりると目の前に通天閣がそびえている。
通天閣エッフェル塔を模したとは、言われてみても、とうてい信じられない。似ても似つかないが、見飽きない味がある。あの界隈、警戒しながら歩いてしまうのも事実だが。