午前中、窓の青さが心地よくて、出かけずにいたが、昼飯ついでにまた蝋梅を見にいった。朝と午後では光が違うかもしれないと思ったのだけれど、撮る人が一緒なのであんまし変わらない。結局同じ構図で撮っている。
ニコンのデジタル一眼レフに三脚で撮影に来ていたご年配の方が、
「さっきのメジロ、撮れましたよ」
と声をかけてくれた。逆光の花の撮影に夢中で、メジロが枝に来ていたのを見逃してしまった。飛び去った方向をしばらく目で追っていたのを見られていたのだろう。
写真を見せてもらったが、満開の蝋梅のなかにメジロがすましたポーズを決めている。写真って結局、個人的体験なのだ。同じ蝋梅を撮っていても、このおじさんとわたしとではまるで違う。メジロが一羽、来て去っていった。その物語を写真に残せたおじさんが、実にうらやましい。人に見せたくもなろうというものである。