ちんちん電車

knockeye2007-03-23

ちんちん電車 (河出文庫)

ちんちん電車 (河出文庫)

月末および年度末とあっては致し方ないものの、日曜日も出勤となった。春分の日は休みじゃなかったのかというと、会社の行事だったのである。酒の席に出るくらいだったら、仕事したほうがまし。しかも、東京の芝公園富士フィルムのサービスセンターのあるあたり。朝4:30まで働いているのにいい迷惑である。
新聞に緑色にライトアップされた東京タワーが出ていた。セントパトリックデーにちなんで茶目っ気を発揮したそうだ。春分の日には普通の色だったけれど、昼見るより夜のほうが見栄えがいい。これだと確かに通天閣より高い。映画の『バブルへGO!!!』に登場した東京タワーは、まだライトアップされていなかった。ライトアップ文化の普及は石井幹子の登場を待たなければならなかった。
なんとなくJRに乗りたくなかったので、遠回りになるけれど、地下鉄で新宿にでて、小田急で海老名に帰った。実は往路、JR横浜駅で乗り間違えてしまった。根岸ってひびきが東京っぽかったので。
海老名で『アンフェア』を観ようかともくろんだが、レイトショーの終了から終電まで5分。映画を観おわって駅までダッシュする若さでもないし、見送ることにした。土曜日は『蟲師』の封切りである。
今回たずさえた本は、獅子文六の『ちんちん電車』。偶然だが、ちょうど差し掛かるあたりのことが書かれていて、実に間がいい。遅刻は間違いなかったし、本でも読むしかなかった。
いま、築地魚河岸の移転が話題になっているが、戦前、あの魚河岸は日本橋にあったそうだ。芝で生まれて神田で育ち、芝っ子の江戸気質なんて、それがどんなものだか、雲を掴むような話で、まるで想像が及ばない。日本橋の上の高速を取っ払う話は立ち消えたのだろうか?
わたくしこちらに来てからクルマを手放し、もう二年になる。これだけ公共交通機関が発達していたら、維持費だけ無駄である。都内だけでもクルマの立ち入りを制限していいのではないか?
ちんちん電車は確かに都会的な乗り物だったと思う。わたくしの故郷の小倉の家の前もちんちん電車が通っていた。なにかしらほっとする乗り物である。獅子文六は、「利用者が少ないから廃止するなんてとんでもない、空いているからいいのだ」的なことを書いている。よく考えたらその通りだ。公共の乗り物なんだし、いつも混雑してないと経営が成り立たないとかいうのは、ちょっと「おかどちがい」ではないか。
富山のライトレールみたいのもいいけど、個人的にはモノレール網を整備してほしい。しかも吊り下げタイプ。床をガラス張りにして、下界を見ながら乗れるようにしてほしい。女性は困る場合もありうるが、レディスカーだけスモークにするとか。
現実的な話をすると、モノレールならクルマの通行を阻害しない。ダイヤが狂わない。駅の設置が既存のビルに造れる(ような気がする)などの利点がある。それから人身事故の心配がない。是非、都知事選の争点にしてほしい。