莎莪の花

knockeye2007-04-15

ここから鎌倉に行くには、海に向かってまっすぐ南下していけば、大仏の背後を襲えるが、それは地図上の話。実際の道は細い上に渋滞がすさまじく、歩行者は車道にはみ出して歩く。今日は、はみ出して歩くほうにまわった。
横浜から横須賀線に乗り換えるルート。他に大和から小田急で藤沢、そして江ノ電というルートもある。江ノ電という小さな電車は人気が高い。ホームでカメラを構えている人も多かった。江ノ電がメインのときは、このルートもいい。
しかし、今回はひたすら歩いた。後で知ったのだけれど、祭りの真っ最中であったらしい。今日は流鏑馬があったそうだが、それには目もくれずにずっと歩きとおした。鎌倉駅から安養院、妙法寺材木座海岸から長谷観音、そして長谷から江ノ電で鎌倉にもどった。
桜はとっくに散り終わり、藤やつつじにはまだ早いが、今日の鎌倉はどこも莎莪の花でいっぱいだった。

藤にはまだ早いと書いたばかりでなんなのだけれど、鶴岡八幡宮の旗上弁才天にある藤棚は、すごくいい匂いを放つ白い花で、「これはニオイフジだ」と思ったわけである。ニオイフジを見るのは初めてだが、これがそうでなかったらびっくりしてしまう。これほど強い芳香を放つ花は見たことがない。ソシンロウバイよりもはるかにつよい。うっかり藤棚の下に座っていると、蜜でべとべとになってしまうのだそうだ。

長谷観音オオデマリ。この花は洗い立てのシャツのようにすっきりしていて、初夏に似つかわしい。

樹齢200年という光則寺の海棠も終っていた。「終っていた」っていったって、行ってみて初めて知ったので、来年からはお目当てで訪ねてみることにしよう。鎌倉駅の近くに、大正時代の小児科医院を一般公開していて、その庭にも海棠が植えられていた。開け放しの窓から花びらが吹き込んでくる。そのこと自体が懐古的かも。「楡家の人々」とか、三好達治の詩とか、そんな感じである。

夜は雨になった。風は南風に変わっている。南から季節を運んでくるらしい。