風間深志の最後の連載

先日、TBSで放送していたからご存知の方も多いだろうが、マジェスティでユーラシアを横断していた風間深志の最後の連載が興味深かったので、引用して紹介したい。

私が先生の忠告を振り切ってフランスの病院を飛び出してしまったのは、1日のベッド代が15万円と聞いて驚いたから(フランス人は無料)、「日本の医療だって凄いんだ!」と先生を説得して日本の病院に転院した。ところが実際は転院先の日本の病院を探すのに一苦労した。どこの病院も一長一短があって焦点が定まらない。要するに、欧米では定番となっている「外傷」を専門とする病院が日本には一つもないのだ。あれば、チームを組んだ専門医師たちによる高度な治療が安心して受けられる。ここに日本の問題点がある。この事実を私は足がこんな風になってしまってから知った。

「こんな風」というのは、治療中に感染症を併発し膝蓋骨を除去手術しなければならなかったことである。風間深志の膝には今、お皿がない。

日本はある分野においては大変進歩しているが、反対に極端に遅れている部分がある。今回のテーマの外傷医療もその一つだ。誰もがトップクラスと思い込んでいるこの外傷医療への日本の取り組み(システム)と技術力(レベル)は、国民の期待とは裏腹に世界とは相当の隔たりを持っている。足の治療でフランスと日本の両方で治療を受けた私はこのことを身をもって体験した。

ベトちゃん、ドクちゃんが来日したり、サハリンで大やけどしたこどもが日本に運ばれたりしていたことを記憶しているので、この記事はとてもショックだった。
考えてみれば、これもまた社会保険庁とおなじく厚生行政である。九州のほうでまた厚生がらみの役人が賄賂をとったのなんだので話題になっているが、ほんとにちょっと役人を野放しにしすぎていないだろうか。祖国の医療を信頼して帰国した風間深志をこの国の行政は完全に裏切った。
フランスで思い出したけれど、阪神大震災のときに、ボランティアで来日したフランスの医療チームを、医師免許をたてに入国させなかったのも厚生省だった。そのときの大臣は橋本竜太郎である。日産を立て直したのもフランス人だし、厚生労働大臣も桝添氏ではなくてフランス人に頼んでみたほうがいいのかもしれない。