二冊

シュザンヌの日々―ニュー・スマーナ・ビーチ (新しいフランスの小説)

シュザンヌの日々―ニュー・スマーナ・ビーチ (新しいフランスの小説)

最後のエジプト人 (新しいフランスの小説)

最後のエジプト人 (新しいフランスの小説)

このまえ、小田原に行ったときに駅前の本屋で半額以下で売られていた二冊。
本屋の経営も大変だろう。私は最近、アマゾンさえ使わない。セブンイレブンでどんな本でも送料無料で受け取れるのだから、こんな便利なものはない。サークルKサンクスも楽天ブックスの本が受け取れるようになった。
一冊目の著者はニュー・スマーナ・ビーチとなっているが、6人の作家がそのビーチで行った短編の連作である。
主人公はシュザンヌというひとりの女性だが、後は各作家ごとに可なり自由に書いている。
こういう共同作業の試みが、創作の刺激になることはありうる。創作が完全に個人作業である必要がないという発見は、たとえば日本のアニメーションや漫画の作法にも見られることである。詩がブームであった一時期には、連詩なんていう試みも見かけた。
共同作業による相乗効果は期待できるものだが、ただ、この作品はちょっとした息抜きとか、気分転換程度のもののように思えた。
『最後のエジプト人』の方は、うってかわって真剣なもののようだ。小説というより、随想とでもいいたいもので、シャンポリオンというヒエログリフの解読者の生涯に思いを馳せた作品である。
ちょっと創作メモみたいに見えなくもない。これをもとにシャンポリオン伝に発展させることも可能だろう。その最初の発想の部分を発表したという感じ。