マクドナルドのハンバーガーは、料理ではなく工業製品だと、池澤夏樹は言った。
いつも言うように、私は深層心理で機械になりたいと思っているごく普通の現代人だ。
このところ、職場の機械が調子が悪く、昨日今日と富山から人と機材が来ている。それだけでもう何となく直った気がする。明日の午前中に少し出勤して、万事めでたく旧に復す予定だ。
そういう夕方、一人の食事になんとなくマクドに足が向く。料理より、工業製品を腹に納めたくなる日がある。それがまっとうな現代の日本人というものだ。
ワイヤー入りの窓ガラスがていねいに磨かれているので、雨粒の直径がそろっていてきれいだ。
以前、魚津と綾瀬を較べて、うっかり魚津の方が田舎だと書いてしまったけれど、冷静に考えると、判断が難しい。
魚津では、たしかに最寄のセブンイレブンは新潟県だったけれど、それはセブンイレブンだけの問題で、ローソンもサンクスもすぐそこだったし、マクドもミスドも吉牛も徒歩圏内にあったのである。案外コンパクトで暮らしやすかった。
綾瀬市役所前のマクドはドライブスルー中心の経営で、店内は余りこまない。孤独をかこつのに最適である。本当の孤独にはもう少し雑踏が必要だけれど。