アールブリュット展

knockeye2008-06-08

松下電工汐留ミュージアムに、アールブリュット展を見に行った。
汐留といえば耳新しいが、新橋というと古めかしい。ミュージアムのある4階から、中庭の旧新橋停車場跡が見下ろせた。
アールブリュットとは「正規の美術教育を受けていない人たちによって、文化潮流や伝統、また流行などとは無縁に制作」された絵画や造形作品を指す。広く解釈すれば、山下清グランマ・モーゼスアンリ・ルソーまでもそこに分類できるか知れない。
磨き上げられたガラスのビルの中で、原始的衝動がものしたであろう作品群を見ていると、すごく不思議な気分になってくる。ガラスばりの高層ビルすらも、アールブリュットのひとつに分類したくなってしまう。
もしかしたら、その分類は的を得ているかもしれないし、そうだったら面白いではないか。アールブリュットとそれ以外を分けている線は、意外に曖昧だと思う。垂直方向に重なったガラスの層は、狂気を写し取った五線譜かも知れないのだ。
東京駅まで130円しかかからない。もうすぐ16:00、時間的にどうかと思いつつ、八重洲口のブリジストン美術館に向かう。閉館時間18:00だったので無駄足にならずに済んだ。
岡鹿之助の展覧会。地味だが好きな感じの絵だ。見るものの足を止める空気感。晴れた日の雪景色、入り江、山の中の教会など。chapel、abbey、cathedral、は、どう違うのかとか考えず、倦まずたゆまず対象に向かい続ける絵なのである。
ここは常設展にもいい絵が多い。東京駅で少し時間が空いたら、出かけて見ると贅沢な時間が過ごせるだろう。