悪意の傷跡

knockeye2008-07-27

悪意の傷跡 ウェクスフォード警部シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

悪意の傷跡 ウェクスフォード警部シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

猛暑は続く。
藤沢だけでなく、大和も海老名も御祭り。いよいよ盛夏なのである。
しかしながら私は、日曜診療している皮膚科を高座渋谷の駅前に見つけて、タクシーで乗り付けた。
車を手放して、こういうときにタクシーを利用する。これがいかに安上がりか。
タクシーの運転手さんが関東には珍しく話し好きな人で、
「先日、地震があったときに、○○省のお役人を霞ヶ関まで乗せましたよ。帰宅寸前のところを呼び出されたそうで、居酒屋タクシーじゃないけれど、霞ヶ関の客待ちタクシーの数はすごいですな」
みたいな。
今日は大和の阿波踊りで、駅前が規制されているそうだ。私は子供のころ徳島に住んでいたので、関東で阿波踊りというのがどうも腑に落ちない。だいたい「大和」という市の名前が納得できない。大和は奈良ではないのか。こんなところに大和があるのは、魚津に銀座があるより変な感じだ。
タクシーの商売は、年金生活の小遣い稼ぎだそうで、そうでなければ、とてもこれだけで生活できる仕事ではないと言っていた。そういうことなので、高座渋谷の目指す病院がどこにあるのか分からなくても大目に見るしかない。
皮膚科にいったのは、何年か前から気がつかないうちにすねに出来ていたホクロのようなものが、いささかでかくなりすぎて気になりだしたからだ。医者に見せると
「じゃあ、今日取っちゃいましょう。病理検査の結果は十日くらいで出ます。」
ということになった。
そういうことになるだろうことは予想できていたのだけれど、ホクロを取るというだけでも確かに手術だということを忘れていた。
手術自体は痛くもなんともなかったが、
「じゃあ今日から三日間お風呂に入らないでください」
と言われたときは返事に詰まった。
これで今日一日の過ごし方は決まったようなものだった。
帰りは高座渋谷から小田急で海老名。海老名も祭で、ぴちぴちのショートパンツなど着た女の子たちが踊ったりしていたが、食後に化膿止めの薬を飲んで帰ることにした。
お揃いの黄色い衣装を着た女の子たちに頼まれてシャッターを押してあげたが。
家に帰って読書である。
ルース・レンデルの1999年のウェクスフォードシリーズの一冊。2002年に翻訳されている。
このシリーズは角川文庫で矢継ぎ早に出版されているころ、夢中で追いかけたものだった。ウェクスフォード警部の肥ったり痩せたりにも随分付き合ったわけだった。
日曜を引きこもって暮らすにはなかなか良い分厚さだったが、やはりこのシリーズにはハズレがない。シリーズとしてどんどん出してくれるならこれからも読み続けたいが、ルース・レンデルだってもう八十近いのだし。