出来レース

knockeye2009-02-17

短いものなので、去年12月に書かれた大前研一のブログの全文をぜひ読んでみてもらいたい。
今何が起こっているかが一目瞭然になるはずだ。
郵政事業4分社化の見直し、つまり郵政民営化の骨抜きは、改革骨抜きの総仕上げ。「かんぽの宿」問題はそれに利用されているにすぎない。
かんぽの宿」が、なぜ4分社化の見直しにつながるのか、説明できる人がいたら説明してほしい。
鳩山邦夫にとっては、まず「4分社化の見直し」ありきで、そこにつなげられる問題なら、何でもよかったのである。

ニュースでは、
総務省は16日、日本郵政から提出された入札の経緯に関する報告書と関連資料の精査を始めた。関係者からの聞き取り調査も進める。提出資料が不十分な場合は、日本郵政への立ち入り検査に踏み切る方針だ。」
そうだ。
が、そもそも「かんぽの宿」は2012年までに売却することが決まっていたのだし、過去の新聞記事では、今回の売却についても、日本郵政総務省の間で何度も相談や報告がなされていて、最終的には総務省が了承してさえいる。
それを総務大臣鳩山邦夫が知らなかったはずはない。つまり、彼は一旦了承しておいて、契約が決まる直前になって騒ぎ始めたことになる。
鳩山邦夫は、日本郵政オリックスとの契約を「出来レース」と呼んでいるが、はたして「出来レース」なのはどちらだろうか。
12日の時点で、鳩山邦夫はすでに「日本郵政西川善文社長の進退問題」に言及していた。話はすでに後任人事にまで及んでおり、「元郵政事業庁長官の団宏明副社長」の名前が表に出るほどだった。
ところが、翌13日には
「西川社長にはまだ重大な仕事が残っている」
「西川社長や(オリックスの)宮内義彦会長とけんかするとの意識はまったく持っていない」
と、明らかにトーンダウンしている。後任人事まで明らかにしながら、「けんかする意識はまったくない」などとよく言えるものだ。私が西川氏ならぶちきれるところだ。

この一日の間に何かあったのだろうか?

もし、鳩山邦夫の行動がスタンドプレーではなく、不正を正す目的の行動なら、この変容はおかしい。大臣の言動として「変節」と言わざるえない。もし不正を正す目的の行動なら。
総務省の役人も迷惑していることだろう。
総務省の調査と言うが、売却までに日本郵政との間で相談も重ねてきたことでもあり、最終的に了承した立場も考え合わせると、「今更調査と言われてもねぇ」というのが役人側のホンネだろう。
もちろん、役人としては、大臣の意図はとうにお見通しのはずである。その意図どおりの答えをでっち上げるのはそんなにむずかしいことではないと思うが、ただ、違法という判断をすることはまずないだろう。
というのは、そう判断してしまうと、問題を検察の手にゆだねなければならなくなる。鳩山邦夫の目的は4分社化の阻止にあるので、問題を司法の手にゆだねて、もし無罪となると困ったことになるからだ。
総務省としても検察に立ち入られたくはないはず。そもそも、彼ら自身が了承したのだから、へたをすると自分の首を絞めかねない。そんな判断を役人がするとは思えない。
鳩山邦夫のような上司の下でもし働いているとしたら、どんな気分だろうか。
もう内閣支持率は10パーセントを切った。半年待たずに上司が代わるのは同僚誰もが知っている。
役人の生理がどのようなものかわからないものの、わたしならこの調査の結論はぐずぐずと先延ばしする。そのうちに選挙になる。選挙にあわせて、何の問題もなかったと発表すればいい。「ざまぁみろ」というところか。