小泉訪ロ

物事の全体を見て、絵を描き、発言できないと、政治家としては「バカ」と言われても仕方ない。
麻生内閣の支持率がついに10パーセントを切ったが、そのニュースがテレビに出るとき、その下に比較のためにか、「森内閣 9%」と出るのがすごくおかしい。
森喜朗の「神の国」失言は、語り継がれる失言のひとつだが、麻生太郎が郵政事業4分社化で失言した後、多くの自民党議員がもみ消しに躍起になるなか、森喜朗は「胸を張って郵政民営化賛成といったのは小泉さんだけ」と発言したのである。
それでは、火を消そうとしているのか、火に油を注いでいるのか分からない。他人の失言の上に失言をかぶせる、珍しい行為だ。
しかし、森喜朗という政治家はインサイドワークに長けているのではないかと思っている。
小泉純一郎が14〜20日の日程でロシアを訪問しているが、これにトヨタ奥田碩が同行している。
なぜこの時期にロシアなのか?
トヨタの工場がサンクトペテルブルグに完成したとき、竣工式にプーチンと同席したのが森喜朗なのである。

推測に過ぎないが、おそらくこの小泉訪ロをお膳立てしたのは森喜朗だろう。小泉純一郎の留守を狙って、郵政4分社化の見直しを既成事実化する腹づもりだったのなら、あの失言の意味が分かる。
しかし、その腹は読まれていた。小泉純一郎のあの痛烈な麻生批判は予想外だったろう。その直後の記者たちに対する森喜朗のやつ当たりぶりは尋常ではなかった。
私が許しがたいと思うのは、郵政民営化の是非を問う選挙で獲得した300の議席を使って、郵政民営化を骨抜きにしようとする麻生太郎のやり口の汚さだ。
参議院で否決されたことを衆議院選挙に問うた小泉純一郎のやり方を、「奇人変人」と麻生太郎は言ったが、民意が示した改革の意志を選挙にも問わず、国民に向かって説明さえせず、こっそりと骨抜きにしていくそのやり方は何か。
「ふしゅう」という字が読めないそうだが「腐臭」と書くのだ。憶えておくといい。