29日のサンデープロジェクトを録画したまままだ見ていなかったので、今日見た。田原総一郎と鳩山由紀夫のインタビューを聞き書き。
「実は鳩山さんの来られる前に、郷原さんにこの事件ですね、えー、3月3日に小沢さんの第一秘書が逮捕された、24日に起訴された、それについて郷原さんにお聞きしたんですが、ちょっともう一回、鳩山さん聞いてないものですから。どう思うか、この事件について。」
「捜査は完全な失敗だと、私は思ってます。本来は検察の捜査は適正に行なわれなければいけないし、そのことは推定されていると思いましたから、私、逮捕後はしばらくは見守りたいと思いました。しかし、24日に検察がほとんど逮捕事実だけで起訴してそしてその説明もほとんど出来なかったということで、適正捜査が行なわれているという推測が崩れたと思っています。
むしろ、その検察の捜査のあり方、起訴をしたという事実の方が、今、非常に重大な問題であって、そちらの方から目を逸らすことは絶対に出来ないと思っています。」
「大変、これは問題のね、検察は失敗だという風に郷原さんはおっしゃってる。
でまあ、鳩山さんがこういう検察とね、徹底的に戦うとおっしゃってるんで、ということは、無罪勝ち取るまで小沢さんと手を組んでがんばるということですか。」
「この問題に関しては少なくとも、戦う必要があると、ただ、小沢代表も、小沢代表自身がね、政権交代というものを夢に見て今までやってきているわけですから、それは、小沢と二人で話しましたよ、徹底的に。そして、小沢代表、私どもが小沢代表が続投したいという思いであれば、しっかりと支えていきたいと、で、この問題に関してはやはり、徹底的に戦っていただきたいと、しかし、われわれが政権交代というものを、求めて戦っていくわけですから、その政権交代にこれで全党一丸となってがんばっていけるぞという思いになれば、それはそのように幹事長として全力を挙げるけれども、必ずしもそうはいかんという判断が出た場合にはお互いに責任とりましょうと、そのことも小沢代表の前で、申して、代表も分かったと、」
「具体的にお聞きしたい。鳩山さんにとってね、大久保さんが無罪を勝ち取るのと、それからその政権交代をするのとどっちが大事ですか。」
「私は当然政権交代を実現させなければならんと思ってます。」
「たとえばね、これ最近直近のデータでね、小沢代表の続投について、代表を辞めるべきだというのが、共同通信の調査で67%、読売新聞68%、朝日新聞も似たようなものですね?」
「いま調査中です。今日明日でやってます。」
「国民は辞めるべきだといってるんですね。」
「それはわかります。一般の方々から見ればですね、秘書が逮捕されるということは、大変大きな話であります。ただ、さっきちょうど郷原さんがいみじくもおっしゃったようにこれは、検察の敗北であると、田原さんも似たような思いも感じておられると思っております。」
「そう、小沢さんは、だから戦うべきだと思う。」
「ここは戦わなきゃいけないんですよ。ここで逃げることは出来ない。そして、むしろわたくしどもがですね、申し上げたいのは、これは検察官僚の皆さんにも説明責任を果たしていただきたい。一方では小沢代表にもやはり、説明責任を果たしてないと、いう声が高いですから、小沢代表の説明責任と、あるいは、検察の皆さんの説明責任と、あるいはまたですね、大久保容疑者が、あたかも供述を始めたかのような誤報が一時流れたんですよ。こういうことは・・・」
「これはNHKもみんな流した・・・」
「こういう誤報をですね、信じる国民って大きいわけですよ。こういった誤報の問題、あるいは、リークの問題、だから、メディアも含めて、メディアの説明責任、小沢自身の説明責任、さらには検察の説明責任、こういった説明責任をですね、調査をするチームというものを、ほんとは民主党の中に作ってやればいいんですが、それは必ずしもみなさん、民主党がやるんだったらあまり信憑性ないよといわれるんで、できれば第三者でみなさんがた、例えば郷原さんなどが中心となって、この問題はやはり徹底的に説明責任を果たしてもらうということが必要だと思ってます。」
「ということは、小沢代表の説明責任が出来てないとか、あるいは、代表続投について反対が多いというのは、これはメディアの誤報に乗っかって国民がだまされてるってことですか?」
「そういう極論を言うつもりもありませんが、しかし、一方で・・・」
「だってさっきそういったじゃない」
「NHKなどが誤報を流した、それによる影響というものも当然ないわけではない。ただ一般論として申し上げればやはり我々から見ても小沢さんやっぱり大きなお金を集めてるんですねと、そのこと自体がね、やっぱり何か後ろにあるんじゃないかと、思われる可能性があるわけですよ。
わたしどもはそういう意味で、収支報告など、これは見りゃわかるよというふうに言いたい気持ちも分かりますけれども、それは閲覧には供してますけれども、国民の皆さん必ずしも見えてるわけじゃありませんから、説明はもっと丁寧に代表自身も行なう必要がある。そういうことによっていわゆる誤った判断からより正確な判断に導くことが必要だと思います。」
「あの、いいですか。」
「はい」
「そのね、いまおっしゃった調査チーム。全部検証してみるというのはすごく大事だと思うんですよ。」
「大事」
「でないとね、これ、まあ、(郷原さんが)さっきおっしゃったように検察の方から見れば失敗ということだと思いますけど、逆に言えばこういうやり方でどんな政治家でも検察はやっつけられる、辞めさせることができますよ。どんな大臣であろうと、総理大臣であろうと。こんなことがね、まかり通るんだったらね、ほんとに検察ファッショになっちゃいますよ。」
「いや、だからね、だから、さっきね、郷原さんがおっしゃった、どうも二階さんにいきそうだと、でも、二階さん、この838万円のパーティー券を買ってると、でも、これも相当クサイとおっしゃってるのね」
「ええ、けしてですね、簡単な事件じゃないと思います。しかも、事件としては、入り口事件というよりも、まだ入り口にもいってない程度の事件でしかないですね、この事件全体を見たときには。ですから、この検察捜査もうまくいくとは、私はあまり思いません。とにかくどんどん・・・」
「もっといえば、高野さんが言ったように、だから尾身さんをはじめ、誰でもパクれるわけですよね、もう。」
「そう、そうなんです。ですから、このそういったことを議論する前に、ほんとに検察が説明責任を果たしたのかということも含めて、きちんと・・・」
「ちょっと聞きたい。あなたは元検事だったけど、」
「はい」
「あなたのときから検察ってそんないい加減なの?」
「いや、それはあのぉ、検察の中にもですね、捜査のやり方についていろんな考え方があるし、そういう時代状況に応じていろんな捜査をやっていかなければいけないんですけども、やはり、閉じた組織ですから、なかなかそれがうまくいってないんじゃないかという感じがします。」
「と、これね、法律の問題とね、民主党のあるべき姿は、分けなきゃいけない。例えばこの次期衆院選、比例選での投票先どうするかというこれ読売新聞の調査です。26日ですね。要するに24日の起訴があったあと、小沢さんの説明があったあと、それまでは圧倒的に民主党が有利だったんですよね。ところがこれで一緒になっちゃった。このままで行くとね、民主党が明らかに不利になると思う。小沢さんがいつづければいつづけるほど。このへんはどう考えればいいですか。」
「だから私どもは、重い十字架を背負ったなと思ってますよ。」
「重い十字架を背負って・・・」
「だから、十字架を捨てることは簡単ですよ。それで選挙に勝って、それでどうするんだという話になりますよ。わたくしどもはですね、やっぱり、小沢代表が大変なリーダーシップを発揮してもらって参議院選挙にも勝ちました。そしてこれから衆議院選挙に臨もうと言う矢先に、先ほど郷原さんがおっしゃったように誰でもパクられるような話のなかで、小沢代表の周辺がやられてしまったと、で、ここでですよ、簡単にわれわれは、ならばやっぱり戦略に負けたなと、すぐに首を挿げ替えるってのが、今までの民主党のやりかたではありました。もう少しですね、我々として努力をして、小沢代表がさらに強いリーダーシップを取り戻して民主党がやっぱり政権交代をしなきゃならない政党なんだということを国民の皆さんにもっと一丸となってですね、理解を求めていく努力をすることによって、ここもまた動くことができると思ってます。」
「となると、仮に今後ね、民主党の支持率が落ちていっても、やっぱり小沢さんを守ってがんばる?」
「しばらくはわたしはこういう風に落ちていくとは思っていません。」
「落ちたらどうする?」
「万一でしょ?万一落ちて、これでは選挙を戦えないねという判断をわれわれ執行部がすれば、そのときには責任をとりますよ、みんなで。」
「あ、そのときは、つまり、小沢さんだけが辞めるんじゃなくて、鳩山さんも一緒に辞めると、責任とると。」
「当然、われわれ役員のメンバー、執行部のメンバーは、小沢代表で行こうと、党議で決めたわけですから、当然、共同責任ですよね。」
「役員一同、全員?共同責任?」
「それは、少なくとも、幹事長は連帯責任、最も重い責任を持つ。」
「責任をとると」
「当然です。」
「星さん、どうおもう?」
「たしかにそういう、おそらく鳩山さんご自身も分かってらっしゃると思うんですけど、鳩山さんは自民党出たとき、実は、小沢さんといっしょじゃないんですよね。『さきがけ』なんですよね。どうも民主党には鳩山さん的な、どちらかというとお金に対しては比較的クリーンにやっていこうという立党の精神があって、まあ国民の感覚もどっちかというと民主党はクリーンで、自民党はまだ金権体質が残ってるなという感覚だと、まあ、正確かどうかは別として、そこに今回の問題が起きてきたからなんとなく国民、有権者が違和感があると思うんですよね。そこの部分はやはりもうちょっと、小沢さんの体質と、民主党の多くの人たちが持ってる体質がちょっと違和感を抱えたままやってきたというところが少し、民主党全体として総括する必要があると思うんですね。」
「星さんの説明をもう少しこう低くね、僕流にいいますと、鳩山さんや武村さんは、自民党の汚い体質がイヤだったと、だからきれいな政党を作ろうと。小沢さんたちはそうじゃなくて権力闘争だと。竹下派の中の内ゲバで出て行ったと。全く違うと、出方が。」
「それはおっしゃるとおりです。」
「違うんだっていうことをね、鳩山さんに念を押したいと。いうとこで、念を押すのはCMをはさんでにします。」
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「同じ自民党を出たといっても、鳩山さんたちの出方と、小沢さんたちの出方は違うと、今はそれが一緒になってるようだけど、やっぱりそれは違うんだというところをはっきりさせたいんですね。」
「出方が違うということは当然体質の違いということにも現れていますし、それは、おっしゃるとおりであります。したがってわたくしどもはやはり政治とお金の問題に関しては、ある意味で小沢代表よりも、という言い方をすると失礼かもしれませんが、よりクリーンでなければならないと思ってます。ただ、小沢代表もですね、そのことは自民党時代とは違ってというか、そこは必ずしも分かりませんが、少なくともディスクローズすればいいだろうと、収支を徹底的にクリーンに公開していけば、それで済むだろうと、いう思いで額の問題よりも透明性というものを高める努力をしてこられたことは、これは紛れもない事実でありましてね、わたくしどもは額の問題よりもやっぱり透明性のほうが大事だという主張も分かるものですから、そこのところは小沢代表の思いを支持したいと思ってきました。」
「その透明性の問題でね、こないだ代議士会で、民主党の代議士会で近藤洋介さんが、素性の分からない団体から長期間に渡って多額のお金、十年間で三億、を貰っていたが、違和感を抱かなかったのかと、で二つ目、このお金を何に使ったのかと、聞きました。このときは時間がないからって回答がありませんでした。そのあとで小沢さんから近藤さんに電話がかかってきて時間がなかったから説明が出来なかったと。説明しなかったんですね。」
「説明すべきだと思いますよ。素性の分からないという言い方が正しいかどうか分かりませんが、長期間に渡って多額のお金を貰っていたと、ただ、小沢代表からすれば、そのくらいの額に違和感というのは必ずしもなかったんではないかと思っていますが、一番大事なことは、何に使ったかということをね、きちんと、やはり、国民の皆さん必ずしも見えていませんから。その説明ですね。」
「その説明は小沢さんすべきですよ。」
「すべきです。」
「すべきですね?」
「そう思います。」
「これいってください、今日帰ったら。早くやれと。」
「いや、しますよ。それは、大丈夫ですから。」
「ところで、念のためにね、お金の額は問題じゃないとおっしゃるけど、2007年度、小沢さんの政治支部に入ってきた企業献金が3379万円、鳩山さん、たった205万円。2006年にいたっては、小沢さん、4806万円、鳩山さん、たった110万円。なんでこんな鳩山さんは少ないの?」
「寂しいですね。(笑)」
「全然桁が違うじゃない。」
「ほんとに寂しい話で・・・」
「鳩山さんはカネいらないのになんで小沢さんはいるんだろう?」
「ただ、わたしの場合はですね、それなりに資産があるんではないかといわれていて、だいたい集めるのに秘書君たちが非常に苦労しているというのが実態としてあります。」
「あ、集めに行くと、あんたのとこはいっぱいカネあるからいらないんじゃないかといわれるわけね。」
「そう思われてしまってますわね。で、それはありがたい話だとは思っていますし、なぜそんなに小沢代表がお金を集めているかといえば、たぶん、それはひとつは人件費が多いとは思いますが、いろいろと草の根交流でですね、アメリカとやったり、あるいは中国に長城計画で毎年、100人200人連れて行ってますよね。それも多分、これよく見てみないと分かりませんけれど、けして全部自腹でというんではないんじゃないかと、小沢代表もかなり出しているんじゃないかと思いますが、そういうものの積み重ねをこうなってるんですよ。ある意味で小沢自身がそうとう日米交流、あるいは、日中交流のためにがんばってんですよというところも見せればですね、わたしはかなりの説明責任を果たすことになるんじゃないかなと。」
「もうひとつお聞きしたい、あえて、鳩山さんがいらっしゃるから。自民党をはじめ他の政党は政党助成金てのは幹事長が持ってるんですよね、だいたい?ところが、民主党だけは、鳩山さんが持ってないんですよね。小沢さんが持ってる。ちょっとおかしいと思いません?」
「それは思いますよ。小沢代表が自分はとにかく選挙に専念したいと、選挙のお金が相当の部分でありますので、すなわち、それに関しては自分に任せてもらいたいと。分かりました。それ以外に関してはわたしがそれなりに目を通すことができるようになってます。」
「ちょっとそのへんどうですか。星さん。」
「小沢さんていうのはそのへん徹底してますから、選挙の公認の決定権もお金の分配もそれからおそらくどっかの段階ではお金配るというだけじゃなくてCM、テレビをどうやって活用するとかですね、そういうことを、こういっちゃなんですけど、オタク的な選挙好きですから、そこは選挙に向けて貯めておこうと。これは小沢さんが不当に使っているということはないと思う。ただ普通はですね、そこはもっとチームプレーで自民党なんかは幹事長、選対委員長、何人かに分けてやってますけど、民主党はそこは一人に集中して・・・」
「いや、全く知らないわけじゃありませんよ。報告は受けるんですけどもね。」
「そこはね、さっきも言ってたんですが、民主党は小沢さんに頼りすぎてるんじゃないかと、だから、小沢さんを守らざるをえないんじゃないかと、逆に言うとそれが民主党の最大の欠陥じゃないかと、」
「党首にたよるというのは、頼るという言い方と、リーダーとしての責任を果たしていただくという言い方の両方あるわけですから、まぁ、裏表かもしれません。ただわたしはやっぱり小沢代表の存在によって、今までばらばらだと、民主党は常にばらばらだねといわれていたものが、ここまで成長してきたと思います。ある意味で、いろんな考え方があっても、最後はよしこれでいこうというときに、まとまるような民主党になってきた。それはある意味での政権交代をしても担当能力が出てきたねと、そのような部分もわたくしは感じますからね。」
「実は、おとといね、朝まで生テレビで面白いことをいってました。つまり、前原さんや枝野さんや仙石さんは、政策立案能力はあると、しかし、政策立案だけで統治能力は全くないと、で、統治能力は小沢さんが持ってると、だから小沢さん欠けると民主党ばらばらになっちゃうとこうおっしゃってるんですね。」
「バラバラに戻るかどうかは別として、相当の訓練をしましたから、かなり大人になったとは思います。しかし、やはり、小沢の存在というのは大きいと思いますよ。」
「小沢さんなくして民主党はありえない?」
「小沢代表なくして民主党はありえない。今、当然そうですよね。」
「わたし(星)はね、体育会と同好会といってるんですけど、小沢さんは体育会ですよ、やっぱり。で、はっきりいって同好会気分、サークル気分が抜けなかったのがですね、ここで少し民主党の中にも体育会の気分が出てくれば、それは小沢さんの効果だったと思いますけど、また同好会に戻ったらダメですよね。ここはそういう意味では分岐点ですよ。」
「もう同好会には戻らないようにいたしますからそこは大丈夫です。」
「僕は率直に言うとね、やっぱりこの際小沢さんがおやめになって、クリーンのために自民党を出た鳩山さんがなった方が分かりやすいと思うんだけどなぁ。」
「そんな風には行きません。まずは連帯責任、共同責任でありますからね。」
「共同責任で辞めると、一緒に。」
「当然そうです、辞めるときはですね。」
「高野さん、なんか?」
「うん、だから、ぼくはずっと辞めるべきでない説なんですけど、それはまあひとつはさっきもいいましたけど、こんなことで検察に引っ掛けられていちいち辞めてたんでは、政治が成り立たないということですよ。だから、それは戦わなきゃいけないということですよね。民主党としてですよ。小沢個人の問題じゃないということですよ。そこははっきりしないと。
それはもちろん、世論調査やればああいう数字が出てくるのは当然ですけれども、しかし、それについてもですね、小沢さんというのはパラドクスに満ちた人だとみんな思ってるわけですから。アメリカの雑誌『TIME』が『小沢パラドクス』という記事を書いてましたけどね。最も徹底的な改革者でありながら、最も古い体質を抱えている小沢パラドクスってアメリカの雑誌だって小沢のその特徴を見抜いているわけですよ、国民だってみんな知ってるわけですよ。」
「ところで最後にお聞きしたい。鳩山さんは去年この番組で小沢代表は岩手4区からは出馬しないとおっしゃった、断言した。こういう状況だとどこから出るんですか。」
「今ね、わたくしも小沢代表とも話したんですがね、岩手4区で今度は自民党の候補者がまさにかつての小沢代表の秘書ですよね。で、その人間がいろんな動きがあると、それもわかってると、だとすればですね、ここで岩手4区から逃げるのも却ってまずくなったですねと、いうことをわたしは申しました。小沢がどう考えているか分かりません。」